【学科研究2025】定時制高校ってどんな学校?◆太田フレックス高校を事例に
高校にはさまざまな学科が存在します。「学科研究シリーズ」はタブロイド判「みんなの学校新聞」(25年7月上旬発行予定)と連動して、さまざまな学びのスタイルを解説していきます。今回は定時制高校について、県立太田フレックス高校の吉田享弘先生(Ⅲ部担当)にお話を伺いました。
定時制・通信制のスクールミッション(公立高校)
◆定時制・通信制課程には、それぞれの学科のミッションに加え、以下のミッションがあります。
◆生徒一人一人の生活スタイルや多様な学びのニーズに対応した教育活動により、自分の才能を発揮できるようになるとともに、現在及び将来の自己実現ができる高校
☆印はフレックス枠の高校
【定時制課程】
生徒一人一人の生活スタイルや多様な学びのニーズに対応した教育活動により、自分の才能を発揮できるようになるとともに、現在及び将来の自己実現ができる高校です。
太田フレックス高校の場合、定時制はⅠ・Ⅱ部(昼間)とⅢ部(夜間)があります。入学の方法は中学校卒業からの「新入学」、高校中退等の事情で学びが中途になっている人のための「編入学」、他の高校等からの転校にあたる「転入学」の3つがあります。基本的に「新入学」による入学者が多くなっています。「編入学」の場合は、前に在籍していた高校等で取得した単位を引き継ぐことが可能です。
入試は全日制と同じ日程で行われますが、フレックス選抜という方法で英・数・国の3教科に加えて面接試験が課せられています。
8月の秋入学選抜もありますが、2月の春入学選抜がメインです。
【Ⅰ部・Ⅱ部(昼間)】
文部科学省の設定で在籍3年で卒業するのが全日制。一方、定時制やフレックススクールは8年までの幅で通学できます。仕事をしながらなど、別のことをしながら学びを継続できるスタイルで通えるのが特色です。
74単位が卒業に必要な修得単位で、授業の取り方次第で最短で3年で卒業できます。年度進級による学年制の学校だと、規定の単位数を修得していないと進級できませんが、本校は在籍年数が学年次となるので、留年などの心配なく、自分のペースで学びを進めることが可能です。
時間割は自分で組みます。ただ全部がフリーというわけではなくて、卒業要件を満たす時間割を作る必要があります。卒業要件は、各教科の必履修科目を修得した上で、合計74単位以上修得することです。1年目、2年目でしっかり単位をとっていると、3年目は時間割に幾分余裕が生まれます。
部活動は三部合同で午後4時半から1時間程度行われています。
【Ⅲ部(夜間)】
本校には、中学校で不登校傾向であった生徒や、別室登校をしていた生徒が多く在籍しています。そのため、Ⅲ部では特に「リカレント教育(学び直し)」に力を入れています。国語、数学、英語、社会の4教科は小・中学校の学習内容にさかのぼって学ぶ授業を設定しています。
また、Ⅰ・Ⅱ部との大きな違いは「少人数制」であること。そのため、教員と生徒の距離が近く、悩みごとの相談や学習に関する質問をしやすい環境です。中学校でクラスの人数が多い環境が苦手だった生徒に向いた環境と言えるでしょう。
Ⅲ部の生徒の多くは17時30分に登校し、20時50分に下校します。また、15時からの授業も受講することで、3年間での卒業も可能となります。そのため、朝起きるのが不得手な生徒や、日中アルバイト等に励む生徒もⅢ部(夜間)の方が通学しやすいかもしれません。
※ 定時制高校・通信制高校は「学年制」ではないため、入学時の人数と卒業時の人数は一致しません。そのため、割合ではなく実数で表記しています。
関連記事
編集部より 記事は配信日時点での情報です。