生徒と教員が「より良い授業」を対話で探る SAHイグナイト3.0開催
群馬県庁32階のNETSUGENで28日、SAH(スチューデント・エージェンシー・ハイスクール)指定校・協力校など16校の生徒と教員が集まり、「SAH イグナイト3.0『S(生徒)-T(教師)ダイアログ』」が開催された。主催は県教育委員会・高校教育課。SAH活動の意見交換の場として実施される「イグナイト」は、今回が3回目となる。会場には、SAH指定校・協力校の生徒や教職員、県教委スタッフ、一般の来場者を含め、約90人が参加した。
県教委では、群馬県教育ビジョンの最上位目標である「自ら考え、判断し、行動できる生徒の育成」に取り組んでおり、SAH事業もその一環として位置づけられている。この事業では、生徒会活動や文化祭の運営など、これまで課外活動が中心だったが、今年度からは授業にも取り入れ、課外活動と授業の両輪でエージェンシー(主体性)を育むことを目指している。今回のイグナイトは、対話を通じて「エージェンシーを発揮できる授業」についての気づきを深めることを目的に開催された。
第1部のパネルディスカッションには、今年度からSAH指定校となった渋川女子高校の生徒4人と教員2人が登壇。県教委スタッフの進行のもと、授業に対する考えや思いを語った。英語担当の教員が工夫した授業の実践例として、生徒が自ら教科書本文を読み、要約を作成し、その内容をクラスメートとスプレッドシートで共有する活動を紹介した。登壇した生徒の一人は、「この取り組みで辞書を活用する機会が増え、語彙力が向上した」と成果を語った。一方で、「インターネット翻訳を使ってしまう生徒がいたり、他の生徒の要約をコピー&ペーストしてしまうケースもあった」と課題についても言及した。また「授業は先生と生徒の双方がきちんと向き合って初めて成立する」という気づきも、生徒から共有された。

第2部のダイアログでは、生徒と教員が5~6人ずつの13の小グループに分かれ、「授業で学んだことを授業以外の場面で生かせるのはどんなときか」「どんな授業だと積極的になれるか」などのテーマで意見交換を行った。
Lグループに参加した太田高校の塚越洋平教諭は、「今後の授業づくりの参考になる生徒の意見がたくさんあった。映像があると分かりやすいという意見は、古文の授業などにも活かせるのではと感じた」と話した。
太田フレックス高校の奈良拓征教諭は「キーワードは“身近な話題”“インパクトと衝撃が残る授業”“自分でやる”の3つ。こうした要素があると、生徒がエージェンシーを発揮しやすいと感じた」と振り返った。
ダイアログで意見を交わした渋川女子高校3年の生徒は、「自分からアポを取って活動するような、体験的な取り組みをしている高校の話が新鮮だった。将来は教員になりたいと思っているので、生徒が興味のある分野を自分で学びにいけるようサポートできる存在になりたい」と意欲を見せた。
それぞれのグループで生徒と教員が対等な立場で活発な意見交換を行った。参加した伊勢崎高校2年の生徒は、「先生とフラットに授業について語り合える場があってよかった」と満足そうだった。
SAH指定校=前橋南高校・高崎女子高校・伊勢崎高校・新田暁高校・渋川女子高校の5校
SAH協力校=前橋高校・前橋女子高校・高崎高校・太田高校・太田女子高校 ・太田フレックス高校・尾瀬高校・渋川高校・藤岡北高校・富岡高校の10校
ダイアログの様子






(編集部)
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