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【SAH実践報告】Aタイムー創立125周年の高女の新たな挑戦(下)

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【SAH実践報告】Aタイムー創立125周年の高女の新たな挑戦(下)

教育全般

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2024.06.21 
tags:SAH 群馬, 群馬県教育委員会  SAH, 高女, 高崎女子高校, 高崎女子高校 SAH

 今年4月から県立高崎女子高校(丸橋覚校長)では生徒が自ら計画し、1コマ55分の授業時間を自由に活用できるAタイムという時間をスタートさせた。「A」には自分の人生や周りの世界に対して、良い方向に影響を与える能力であるAgency(エージェンシー)の意味が込められている。

  同校は昨年から、自ら考え、判断し、行動できる生徒の育成を図るモデル実践校として県教委から「SAH(スチューデント・エージェンシー・ハイスクール)」の指定を受けており、Aタイムの取り組みもこの一環で導入された。時間を有効に使う意識や学習を自分自身で計画する意識を高め、自分にとって最適な学びをデザインすることをねらいにしている。2回目はAタイムの様子を具体的にリポートする。

 

(関連記事)【SAH実践報告】Aタイムー創立125周年の高女の新たな挑戦(上)

 

Aタイムに潜入取材!

 Aタイム6回目にあたる6月18日。「次の週に期末テストがあるので、今日は自習する生徒が多いと思います」と校内を案内してくれた田村晶先生から事前に説明を受けた。自習といえば教室で黙々取り組むイメージ。しかし、その自習のイメージが覆された。

 校舎をつなぐ渡り廊下。壁沿いに友達同士で集まり、自習している風景が飛び込んできた。座り込んでやっている子や教室の外に机をならべて自習する子もいる。一見、秩序がないように見えて、それぞれ生徒は集中して活動に取り組んでいる。「自分が一番落ち着ける場所を探しながらやっている感じですかね」と中村理恵先生。

廊下で自習に励む生徒たち

中には座り込んで勉強している子も…

黙々自習派

こちらも隅っこで端末を使って勉強

「1年生は今日は教室自習が多いです」と田村先生

自習している子の数学ノートを見せてもらいました

 「教室でこれから自習というのとは違って、好きな場所で好きな子と一緒にやれる方がモチベーションも上がります。周りの目があるからやんなきゃという気持ちにもなる」と生徒会長の佐藤花さん(3年生)は話す。

 佐藤さんはこの日、担当の中村先生に地理の豆テストをリクエストした。これを受けて、中村先生はGoogleクラスルームを通じて他の生徒にも告知。告知で豆テストの存在を知った生徒がこの会に合流した。

【写真】中村先生の地理の豆テスト 

 東大受験を目指す生徒が参加する「東大セミナー」や千葉大、筑波大などの国立大学を目指す生徒向けの「道しるべ」という集まりはこうした生徒のリクエストに先生が応える形で実現した。 

 Aタイム導入で先生と生徒のコミュニケーションも格段に増えた。

「先生に質問や相談があっても、放課後忙しそうにしていて声をかけにくかったり、そもそも放課後だと先生の居場所が分からなかったり…。そういう意味でAタイムで先生を予約できるのでありがたい」と佐藤さん。

 実際、職員室をのぞくと先生を囲んで勉強の質問するための行列ができていた。相談室では個別指導スタイルで数学や英語を教えてもらっている生徒も見かけた。

 一方、楽器を練習する音が響いてくる教室もあった。なかにはマンガなどの創作活動に精を出す生徒もいるそうだ。

先生に個別指導を受けている子も

こちらは奥に注目! 手前は授業準備する先生 ここが落ち着く場所

こちらは数学の個別指導

ギターの練習に励む子も

ドラムの練習に励む子も

 自由に使える時間だから、部活の練習時間に充てる生徒もいる。「それではAタイムではなくB(部活)タイムではないか」という意見が教員側から出されたことがあった。丸橋校長はこうした声に対して「あえて教員側が生徒をコントロールするのではなく、個人の内的動機づけにもとづく活動を尊重しよう」と説得した。

 終了5分前には教室に戻り、計画表に「活動内容」とその日の「振り返り」を記録する。1つのタームが終了するごとに各自に配布されたAタイム計画表でタームの振り返りを行っている。

 

 Aタイムが学校にどんな成果を生み出すかは今後の検証を待たなければならない。教員側も生徒側も手探りしながら、この時間を作り上げている段階だ。ただ、萩原さんの言葉にその成果の兆しを感じた。

「自分は体調を崩しがちだけど、今日はAタイムがあって友達と一緒に勉強できるから、(体調が悪くて)ちょっとつらいけど、頑張ってみようっていう気持ちになれたりしました。学校に行く楽しみが一つ増えた気がします」

(編集部)

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