生成AIは学校現場の「救世主」か? AIアバターとの対話形式で「一歩先の学び」の研究発表も ー県総合教育センターで、ぐんま教育フェスタ開催ー7日
群馬県教育委員会は7日、県総合教育センター(伊勢崎市)で「ぐんま教育フェスタ」を開催した。今年度は「みんなでつくる、一歩先の学びのカタチ」というコンセプトで、長期研修員による先進的な教育活動の事例報告や県教委義務教育課、特別支援課などのこれからの群馬県の教育の在り方についての特別発表も行われた。
9時半から行われた研究発表では、非認知能力の育成、生成AIの授業活用、不登校支援、外国人児童への日本語指導など9つのテーマが設けられ、長期研修員が実践した教育活動の事例報告や意見交換が行われた。会場には教職員など多くの学校関係者が訪れ、それぞれ関心のあるテーマを自由に選んで、参加していた。
■「AIは怖い」から「やってみたい」へーー心の壁を溶かす校内研修の実践報告
生成AIをテーマにした会場では、県教委教育情報推進係による基調講演と、館林市立第十小学校の上田愛教諭による実践報告が行われた。
基調講演では、ICT活用による効率化が期待される一方で、現場の教員の6割以上が負担を感じている実態や、スキルアップの時間不足といった「理想と現実のギャップ」が指摘された。
この課題に対し、上田教諭は「生成AIは学校現場の救世主になるのか」を問いに掲げ、自身の経験をもとにした研究成果を発表した。

【写真】実践報告をする上田教諭(県総合教育センターで)
【写真】AIアバターと対話形式で進められた実践報告
上田教諭の報告は、AIアバターとの対話形式で進めるという斬新なスタイルで進められた。自身のことを「もともとはAIのことはよくわかっていなかった」と振り返りながら、周囲の教員の「心の壁」に寄り添った取り組みを紹介した。 校務のICT化に向けては、職員会議後などの短い時間を活用して、生成AIやICTツールへの不信感を払しょくし、有用性を実感してもらえる研修を実施。スキルを教える前に、まずは「怖い」という不安を溶かし、「やってみたい」という期待感を育むことで、教職員全体の活用頻度を向上させた。
また、授業実践ではGoogle Geminiのカスタム機能を活用し、体育授業専用のAIアドバイザー「Gunma-AI体育(Gem)」を開発。学習指導要領などの公的な資料を学習させたこのAIを活用することで、授業計画の作成時間は従来の約3分の1に短縮されたという。また、低学年では8割以上の学校で専門外の先生が体育の授業を担当しており、担当教諭の「苦手意識」の払しょくにもつながった。授業が質的に変わり、児童の授業内での活動量が増えたケースも報告された。
上田教諭はAIの授業導入をポジティブに評価しつつも、「AIはあくまで相棒。子供を看取る教師の軸があってこそ、AIは真の力を発揮する」と締めくくった。
■ AIのハードルをどう超える?
その後の質疑応答では、現場の課題を巡って活発な意見交換が行われた。参加した教員からは、自身の経験を踏まえながら「若い世代は当たり前のように使いこなすが、長年自分の知識で教育に携わってきたベテラン層には、(AIの活用を)『怖い』と感じる高いハードルがある。この氷をどう溶かせばいいか」との声が上がった。
これに対し上田教諭らは、心理的ハードルを下げる場の重要性を提示。さらに、「教育的な知見や観点を豊富に持つベテランこそ、AIに対して的確なフィードバックを返し、質の高いアウトプットを引き出せるポテンシャルがある」と話した。
群馬大学共同教育学部教授で県教育委員会教育委員を務める日置英彰氏は、「AIを使えば業務改善も進み、質も非常に良くなる。ただ、AIは間違えることもある。AIとの『対話』を通じてブラッシュアップする過程が不可欠だ」と指摘。上田教諭が挙げた課題に触れ、「最終的にAIが出してきたものをうまく活用できるかどうかは、先生自身の意識の高さにかかっている。そこが整ってこそ、真の効果が生まれるのではないか」と話した。
当日の様子

【写真】非認知能力の育成に焦点をあてた学校教育の改善の発表

【写真】非認知能力の育成に焦点をあてた学校教育の改善の発表

【写真】学校に行けない・行きたくない子供への包括的な支援の在り方の発表

【写真】学校に行けない・行きたくない子供への包括的な支援の在り方の発表では、つなサポの体験も行われた

【写真】つなサポの3Dメタバース空間に入り体験する参加者
(編集部)
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