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【教育コラム】手の記憶(館林・進学塾クエスト)

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【教育コラム】手の記憶(館林・進学塾クエスト)

オピニオン

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2026.05.31 
tags:GIGAスクール構想, 古口徳夫, 手の記憶, 手書き, 進学塾クエスト, 進学塾クエスト 館林

 こんにちは! 館林市の北西部、県立館林美術館の近くで小1生~高3生を対象とする「進学塾クエスト」を運営しております古口徳夫と申します。今回は「ICT活用と手」について考えていきたいと思います。

 

セミナー三昧の6月 そこから得たもの

 6月(注:23年6月)は3回の東京出張がありました。そこでは今後の学習塾業界がどうなっていくのか、さまざまなデータによって現状を検証するセミナーもありました。

 

 さて、こうしたセミナーでは教育業界、しいては日本を代表する先生方のお話をお聞きすることができます。今月は大谷翔平選手が書いたことで一気に有名になった『オープンウィンドウ64(マンダラチャート)』の指導者である原田隆史先生による「目標達成のルール」の授業。『ドラゴン桜』のモデルとなった「学校内予備校」を日本で最初に立ち上げた廣政愁一先生の「今後の日本の教育業界展望」。ウイングネットや市進予備校を運営している市進ホールディングスの下屋俊裕会長による「これからの教育に求められるもの」についてのお話は何と3回もお聞きすることができました。その内容を少しご紹介します。

 

「書く量」が激減したことで…

 日本ではGIGAスクール構想による教育環境整備が進められています。文科省によると「児童生徒向けに1人1台端末を与える、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を全国の学校現場で持続的に実現させる構想」とのことです。

 「どうせ日本のことだから、なかなか進まないんだろうな」と思っていましたが、コロナ禍における学校全面休校によって一気に進んでしまいました。ですから、学校によってはまだ上手に活用できていないという話も聞いています。おそらく、先生方も一気に状況が変わってしまったので、今は有効な活用法を一生懸命模索されていらっしゃることでしょう。実際に全国に散らばる小・中・高の先生をしている友人たち(校長先生をしている知り合いも多数います)も「未来を見越した教育を子どもたちに届けたいので、毎日必死に授業研究をしている」と言っていました。教育者全員が「子どもたちの未来のために」頑張っています。私たちもいっしょに頑張っていきます!

 

 「この施策の中で最も問題になっているのは『書く量』が激減したことだ」と下屋会長はおっしゃっています。いろいろなソフトが活用されるようになってくると、子どもたちはキーボードからの入力によって自分の考えを表現する場合が増えてきます。「手書きとタイピングでの脳の働きの違い」については今までたくさんの論文が発表されています。ここから数行は、PRESIDENT Onlineの鈴木進介さんの記事を引用します。

ノルウェー科学技術大学(NTNU)の研究チームの実験によると、20代の若者を対象に脳の電気的活動を追跡したところ、「キーボードのタイピング」より「手書き」のほうが脳活動が活発であった(『Frontiers in Psychology』2020年7月)

 

 手書き作業は思考や創造性を担う脳の前頭前野を活性化させてくれるそうです。文章を書くときの脳活動計測では、手書きで手紙を書くと前頭前野はたくさん働くのに、パソコンや携帯電話で手紙を書かせても前頭前野はまったく働かないという実験結果が出たとのことです(東洋経済オンライン『スマホが脳の発達に与える無視できない影響』2018年5月)

 人間の脳は「できないことを試行錯誤している時=ストレスを感じている時」が最も活発に動いています。お子さんが「こんなのわかんない!チョームカツク!!」と怒っている時が、まさに『学力がついている瞬間』なのです。ちょうど筋トレをやっているときのようです。重いウェートを持って、歯を食いしばって持ち上げることで筋力が上がり、忍耐力、やり遂げる力がつきますよね。学習もまさに同じです。あれこれ格闘して一つの答えが出る、その過程で「思考力」「忍耐力」「やり遂げる力」「失敗から乗り越える力」が身につきます。「やればできる」ではなく「やれば伸びる」のです!

 

「手の記憶」がパフォーマンスを上げる

 では、タイピングによる入力はダメなのかというと、そんなことはないと思います。記録した内容を蓄積し、誰かと共有するという目的であればICTはとても便利です。ただし、記憶に残るかというと……仕事をする中で何度も同じファイルを開いて「あ~、そうだった」というご経験はありませんか?「わかるけど、頭に残っていない」というのが現状なのです。もちろんすべてを覚えている必要はなく、必要に応じて人に聞いたり、検索すればいいのです。でも、これは脳を使いこなすトレーニングをひと通り経験して、「脳の中の脳(脳の前の部分=記憶、感情・行動の抑制を担当)」を鍛えてきた大人だからこそ許されるのです(怠けすぎると『老化』が加速します)。

 

 子どもたちはまさに今、「脳の中の脳」を鍛えている最中なのです。だからラクをしては学習の意味がなくなってしまいます。スマホやPCは単に画面やキーボードを「押す」「触る」という単純作業です。そこで必要なのは「指先をあらゆる方向に動かして」手に入れる、『手の記憶』。手を動かしてこそ私たちの脳は最大のパフォーマンスを発揮します。

 

どうせやるならちゃんと結果の残る方法を

 子どもたちには学校・習い事・部活・遊び……たくさんのやることがあります。大人同様、いろいろなことをやりくりして勉強に充てています。だから私はいつも彼らに言います。

 

 「だったら、効率よく力をつけちゃうほうがよくない?」

 

 「勉強は『できないもの』を『できるように』することなんだよ」

 

 「勉強は『気合と根性』で押し切るのではなくて、『科学』を使って進めるものなんだよ」 と。

 

 どうせやるなら「ちゃんと結果が残る方法」でやった方がいいですよね。私たちは学習のプロなので、自分たちの経験に頼り切った学習方法だけではなく、「子どもたちが最高のパフォーマンスを発揮するための学習方法って、何?」と常に追い求めています……ということは、今、結果が出ていないのは……そうです!「言われたとおり」にやっていないだけなんです。今の結果は『自己流の限界』、最強のプログラムをぜひインストールしてね。

 

 もう6月です。あと1か月もすれば夏休みになります。受験生はこの夏で今後の人生の流れが大きく変わります。それぞれが「テーマ」をもって過ごしてもらいたいです。

(2023年6月に執筆したものをもとにリライトしました)

 

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編集部より 記事は配信日時点での情報です。

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