【教育コラム】3人のレンガ職人(館林・進学塾クエスト)
こんにちは! 館林市の北西部、県立館林美術館の近くで小1生~高3生を対象とする「進学塾クエスト」を運営しております古口徳夫と申します。今回は「ICT活用と手」について考えていきたいと思います。
■「目的」と「目標」のちがい
今回はどんな内容にしようかと昔のコラムを読み返していたところ、時代が変わっても繰り返し伝えたいテーマに改めて気付きました。新しい情報も大切ですが、変わらず大切な考え方もあります。今回は、その一つを少し手直ししながら紹介します。
突然ですが「目的」と「目標」のちがいは何でしょうか?(必ず答えを考えてから続きを読んでくださいね)
目的とは……
目標とは……
各企業には「企業理念」があります。これは「ウチの会社はこういうことを目指してますよ~!」という会社自体の存在目的のようなものです。とはいっても企業はまず第一に「利益(『利潤』ともいいます)」をあげなければ存在できません。でも、「ただ物を売ったり(クエストであれば教えたり)」しているだけでは長く存在することは難しくなります。それだけでは社員のやる気が弱くなってしまうこともあるからです。そこで経営者はことあるごとに「我が社の目的」を社員に伝えていくのです。あるサイトでこんな記事を目にしました。
「ヤクルトを毎日届ける仕事をしている方々はヤクルトを届けているのではない。『健康』を届けている」
「ソニーのウォークマン開発者は携帯音楽プレーヤーを開発したのではない。『音楽と生活する世界』を世に創出したのである」
体を健康にするお手伝いや音楽を常に持ち運べる生活を提供することが、生活を変え、会社を変え、街を変えるという壮大な目的につながるからこそ、与えられた目標に価値が出るのです。
先ほどの質問の答えを発表します!
目的……最終的に達成したいもの・状態(「何を手に入れたいか、どうなりたいか」)
目標……目的を達成するために、達成の期限やレベルを決めて設定するもの
(「目的を手に入れるために、いつまでに、何を、どのくらいするか」)
こう考えると、会社なら売上目標、学校なら1学期の学習目標というように使われるのも納得がいきますよね。そしてこの2つの関係は次のようになります。
目的 = 目標 + 意味・意義
(村山 昇さん キャリア・ポートレート コンサルティング 代表 のお考えを借りました)
■「何のために」という問いが内的動機づけをつくる
ある仕事に就き、仕事に慣れてきたにもかかわらず「何となくやる気がでない」「自分にはもっと向いている仕事があるのかもしれない」といって、すぐにやめてしまう若者が増えていると聞きます。そういった人は日々の仕事しか見ていないので、「何のために」その仕事をしているのか、気付いていないのかもしれません。本人の甘さもあるでしょうが、目的を持つことの大切さを意識させない上司にも問題があると思います。私もスタッフや塾生に対して「何のためにそれをするのか?」いつも意識するよう、声をかけています。
私の経験上、苦手科目を克服したり、スランプから抜け出したりする子は、「何のために頑張るのか」が比較的はっきりしています。一方で、学習量だけを増やしても、なかなか結果につながりにくいケースもあります。
だからこそ私たちは、学習内容だけでなく、「なぜ頑張る必要があるのか」「なぜ勉強するのか」という問いを、子どもたちに投げかけ続けます。少し新入社員研修のような話に聞こえるかもしれませんが(笑)。『仕事』を『学習』に置き換えれば、私たち大人にも同じことが言えるのではないでしょうか。
こうしたことを、みなさんにもぜひ考えてほしいのです。
また、保護者のみなさまも、お子さんと一緒に考えてみてください。目的を見つけるのは本人ですが、そのきっかけになる問いを投げかけることは、大人にできる大切な役割かもしれません。
目的や意味が見えていると、挫折したときにも「ここで終わりじゃない」と前を向く力になることがあります。私たちも、ただ点数を上げるだけではなく、「なぜ学ぶのか」「何のために取り組むのか」という問いを、これからも子どもたちと一緒に考えていきたいと思っています。
■「3人のレンガ職人」
最後に、一つの寓話を紹介します。
レンガを積んでいる三人の職人に、通りかかった人が「何をしているのですか」と尋ねました。
1人目は、
「親方に言われたので、レンガを積んでいます」
2人目は、
「レンガを積んで、建物をつくっています」
3人目は、
「人が集い、後世に残る教会をつくっています」
――『3人のレンガ職人』という話です。
細かな設定には諸説ありますが、伝えたいことは共通しています。
同じ仕事、同じ行動でも、そこにどんな意味を見出しているかによって、見える景色は変わるのかもしれません。
1人目の人 …… 与えられた作業として取り組んでいる
2人目の人 …… 職人として成果を形にし、生活を支えている
3人目の人 …… 自分の仕事が未来や社会につながる意味を感じている
どれが正解という話ではありません。ただ、自分なりの意味を見つけられたとき、同じ毎日が少し違って見えることがあります。
目標は他人から与えられることがあります。でも、目的や意味は、自分自身が少しずつ見つけていくものなのかもしれません。
私の運営するクエストの指導理念は、「学習を通し、今していることの意義を考え、学校から社会へ出たときに、『ただ日々を生きているだけ』ではない、『思慮深い人』になってもらうための種まきをすること」です。そのためにも、私たちは学習内容だけにとどまらず、子どもたちとさまざまな対話を重ねながら、一緒に考えていきます。
この3人は、数年後、何をしていると思いますか?
そして、あなたが今していることの「目的」は何ですか?
(2024年5月に執筆したものをもとにリライトしました)
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編集部より 記事は配信日時点での情報です。





