【塾の先生コラム】環境と常識◇前編(館林・進学塾クエスト)
こんにちは!
館林市の北西部、県立館林美術館の近くで小1生~高3生を対象とする「進学塾クエスト」を運営しております古口徳夫と申します。
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【写真】進学塾クエスト 古口徳夫塾長
以前勤めていた塾のメンバーと久しぶりに話していた時、「『ドラゴン桜』って知ってる?」という話題になりました。「なんかテレビでやってるヤツでしょ?」と私。「マンガもあるから一度読んでみなよ! 結構いいこと書いてあるよ!!」「じゃあ読んでみるよ」 そもそも教育を扱ったドラマはあまり好きではありません。それは、現実からかけ離れていることが多いのと、興味本位でおもしろおかしく仕立ててある点が多いからです。医療系・法律系……どのジャンルにしても、専門とされている方からすると「なんだかねぇ」となることの方が多いのではないでしょうか。
そこで、その頃クエストで働いていた先生にこのマンガのことを話すと「それ、全巻持ってますよ」の一言。「貸して!」そして一気に読みました。それも2回も……。こんなあらすじです。
売れない弁護士が、三流私立校をエリート校に再生させる姿を描く物語。経営難の龍山高校の倒産処理にやって来た弁護士・桜木。だが、経営状態を回復させる方が自分の名を上げられると考え、方針を転換する。在職中の教師らが疑いの目を向ける中、債権者集会に参加した桜木は、龍山高校の超進学校化による再建を宣言。次の受験で5人、5年後には100人の東大合格者を出すと息巻く。講師にはその道のプロといわれた講師たちが担当する……。桜木の現実主義、担当講師の繰り出す勉強法によって偏差値30台の生徒たちは東大合格のキップを手にすることができるのか……。
この話の面白いところは弁護士・桜木の口にするセリフです。いくつか挙げてみます。
大人たちはな、「無限の可能性だ」なんて何の根拠も無い妄想をお前らに植えつけてる。そんなもんに踊らされて、「個性を生かして他人と違う人生を送ることができる」と思ったら大間違いだ。社会はそういうシステムになっちゃいない! 世の中が気にいらねえんだったら自分でルール作る側にまわれ。いいか!、おまえら、もう一度言う。騙されずに生きていきたければ勉強しろ!バカとブスこそ東大に行け!!
「負ける」ってのはな、「騙される」って意味だ。お前ら、このままだと一生負け続けるぞ!(中略)税金、年金、保険…みんな頭の良い奴がわざと分かりにくくして、ロクに調べることもできない頭の悪いヤツから多く取ろうという仕組みにしている。つまりお前らみたいに頭を使わず面倒臭がってばかりいる奴らは、一生、騙され続けるんだ!賢い奴は騙されずに得して勝つ、バカは騙されて損して負け続ける、コレが今の世の中の仕組みだ!
この世の中のルールは、頭の良い奴に有利なように出来ている。そのルールを上手く使う側、作る側になれ!
受験ってのはな、今の日本に残された「たった一つの平等」なんだぞ!家が貧乏でも、グレて不良だと呼ばれる時期があっても、(中略)受験で点数さえ取れりゃ、一流大学に入れるんだ。
かなり過激なコトバが多いですが、理にかなっている部分も多いように感じます。結論から言うと、桜木のドライなセリフには「ほぉ~」と感動できるところも結構あります。「結局きれい事言っても、生きてはいけない」という考えがその根底に感じ取れるからです。
そんな『ドラゴン桜』ですが、勉強方法については、高校時代、友人や自分がやっていた方法と同じようでした。ある意味「こんなの当たり前じゃん」という感じでした。
私の母校の足利高校はとりあえず「進学校」と言われていたところです(本当の進学校は東大合格者10名以上が常識。先生方は「ただの受験校」と言っていました)。授業中、答えが言えずにオロオロしている夢、予習を忘れていつ当てられるかドキドキしている夢、テスト前に範囲の勉強が終わらなくてあせっている夢などを今でも見ます。そこから考えると、勉強に対しての「プレッシャー」を常にかけられた中で高校生活を過ごしていたのでしょう。当時はそれが当たり前の日常だと思っていたのですが……。(後編に続く)