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【連載】ルポ「私立高校受験ナビ」開発顛末記(1)─AIを使うことと、AIに使われること(全3回)

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【連載】ルポ「私立高校受験ナビ」開発顛末記(1)─AIを使うことと、AIに使われること(全3回)

オピニオン

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2026.06.15 
tags:AI, 桐生こども新聞コンテスト, 私立高校受験ナビ

 プログラミング知識ゼロのローカルメディア編集長が生成AIを相棒に「外注費数十万円レベル」のアプリ開発に挑んだ壮絶なドキュメント。

 画面の向こうで繰り広げられるAIとの地獄のループ、そして相棒の交代劇……。泥臭い試行錯誤の果てに見えてきたものとは。AIに思考を丸投げしない「人間の主体性」と、これからの時代のAIとの向き合い方を考える(全3回)。

 

大道さんがそんなこと言うなんて

「生成AIの使用不可を募集要項に明示するべきではないか」

「桐生こども新聞コンテスト」の打ち合わせの席上、私はそんな問題提起をした。子どもたちがAIに丸投げした作品を提出してくることを懸念しての意見だった。

 そんな私の言葉に元朝日新聞記者の大道裕宣さんがすぐに反応した。

「もうこの時代、(AIを)使うこと自体は否定できないんだよ。道具として考えればいい。手書きがいいというのは、君の記憶の中にある感傷でしかないんじゃないか」

 正直、意外だった。自分の中での大道さんのイメージは世の中の大きな流れに対して、真逆の立場から鋭い指摘をする人。世間の熱狂から一歩引いて物事を観察しているタイプである。デジタルネイティブ世代ならいざ知らず、70代の大道さんがAIを容認するような発言をしたことが驚きでもあった。しかも、聞けば、大道さん自身も日常的にAIを「壁打ち」の相手として使いこなしているという。意見は食い違ったものの、年齢を重ねると思考が硬直化し、保守的になりがちな中、新しい技術を柔軟に取り入れるその姿勢には、ただただ脱帽するしかなかった。

 

子ども時代に不便さを経験させる意義

 その後、大道さんとはメールで意見を交わした。大道さんの意見に納得する部分もあったが、私は今でも、子どもたちの新聞コンテストにおける「PC応募」や「AI利用」には慎重な立場をとっている。理由は明確だ。子ども時代には、あえて「不便さ」を経験してほしいからである。

 不便だからこそ、人間はそれを乗り越えようと創意工夫を凝らす。たとえば、子ども新聞づくりであれば手書きで文字を書き、レイアウトを考え、失敗しながら仕上げていく。その過程で「どうすればうまく伝わるのか」という創意工夫が生まれる。そこにコンテストの意義があると私は考えている。

 「面白い新聞を作って」。AIにそんな一言を指示するだけで、それらしいものが出来上がってしまう時代だ。吐き出されたものを思考停止のまま新聞にしたものが、果たしてコンテスト作品としてふさわしいのか。「思考停止のまま」と決めつけたら、また大道さんから「それは君の主観だろ」と反論されそうだが、どうしても違和感はある。それでは、AIに使われているのと変わらない。もちろん、大道さんの言うように、完全にAIに依存した作品は見れば分かるとは思う。でも、そんな軽い気持ちで応募してほしくないという思いが自分の中には強く居座っている。

 

AIを使ったアプリ制作に挑戦

 とはいえ、そんなことを言っている自分自身もすでにAIは欠かせない相棒になっている。日常生活や仕事のツールとしてAIを使わない日はない。

 もちろん取材をし、構成を練り、記事を書くのは自分だ。しかし、書き上げた文章をAIに読ませ、別の視点から意見をもらったり、表現を整えたりすることは当たり前になった。身近な悩みや相談事をAIに投げかけることも少なくない。

 そして今回、私自身が制作した「私立高校受験ナビ」は、プログラムのほぼすべてをAIの力を借りて作った。子どもがAIをつかって新聞を作ることには反対し、一方でAIをつかってアプリ開発をしようとしている自分自身に「矛盾しているではないか」と突っ込みが聞こえてきそうだが、「大人と子供は違うから」と乱暴な反論を一旦は返しておこうと思う。

 ただし、「便利な受験アプリを作って」という簡単な一言で完成するほど、AIは魔法の杖ではない。完成までには何十時間もの試行錯誤があり、AIと何度も議論し、失敗を繰り返した。

 私はプログラミングに関しては素人だ。なんとなくHTMLのコードを見れば分かるぐらいの知識はあるが、自ら構築できる技量はない。そんな自分がAIを使ってどこまでアプリを作り上げられるか。実験も兼ねた挑戦だ。

 

 次回から「私立高校受験ナビ」がどのように誕生したのか、その舞台裏を紹介しながら、AIとの向き合い方について考察していきたい。

(文・峯岸武司)

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編集部より 記事は配信日時点での情報です。

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