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トップ校定員減、どう見るーうすい学園代表・柴崎龍吾氏に聞く

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トップ校定員減、どう見るーうすい学園代表・柴崎龍吾氏に聞く

高校入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.06.03 
tags:うすい学園, どうなる定員減, トップ校 定員減 群馬, 群馬県教育員会 定員, 群馬県教育委員会 高校入試

今回取材させていただいた、うすい学園・柴崎龍吾代表

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 トップ校で定員減が検討されていることが報道され一週間が過ぎた。高崎・前橋地区の学習塾はこのニュースをどう受け止めたのか。県内大手のうすい学園(本部・高崎市)の柴崎龍吾氏に聞いた。

 

■定員減の背景に大学入試改革

「(上毛の報道を見て)びっくりしたというのが正直な感想だ」。伝統校4校の定員減が検討されているという先週の上毛新聞の報道に、県内大手塾のうすい学園を運営する株式会社うすいの柴崎龍吾社長はこう漏らした。
 うすい学園は今回定員減の対象になる前橋高校・前橋女子高校・高崎高校・高崎女子高校に多くの合格者を送り込んでいる。高崎・前橋地区が地盤の学習塾だけにこのニュースは現場の講師陣にも衝撃をもって受け止められたようだ。

 


そもそも320人定員の大規模校が削減対象としてあがったのだろうが、それにしてもトップ校が対象になるのは寝耳に水の話」。柴崎氏がいうように県教委の「高校教育改革推進計画」にこの4校の名前は一切出ていなかった。
OBや同窓会組織が強い伝統校の改革だけに議論をしだすと話が進まなくなる。だからあえてそういう(上毛に流した)戦略をとったのではないか」というのが柴崎氏の見立てだ。今回の報道は「観測気球」としての側面もあるという読みだ。
 高崎高校・高崎女子高校に関していえば、ここ数年の倍率も決して低いとは言えない。「定員を急いで削減しなければならない状況ではない」。今回、性急に事を進めたかった背景には「大学入試が変わるからというのがあると思う」と柴崎氏も指摘する。

 

■トップ校内に広がる学力差
 前橋地区・高崎地区でいえば、中央中等で上位層が青田買いされている現状がある。柴崎氏はこういう言い方は好きではないがと前置きしたうえで、「今の定員を維持すれば、一段低い学力の生徒を受け入れざるをない面もあったのではないか」と推測する。
 実際、塾の現場でも、高崎高校や高崎女子高校といった難関校であっても、「昔に比べて学校内での学力格差が広がっている」という実感がある。
 その一方で、伝統校からすれば大学入試改革で戦える学力を維持しなければならない。トップ校としては「スーパーグローバル大学に実績を残せるような組織づくりをしたい」という思惑があって、定員削減を計画している県教委と利害が一致したのではないかと柴崎氏は分析する。
 2020年から大学入試改革でセンター試験に代わって「大学入学共通テスト(仮称)」が導入される。しかしながら、この新テストは、こと上位の学校の生徒にはさほど大きな影響はないのではないかというのが柴崎氏の見立てだ。「むしろ、問題は2次試験だと思うね。各大学が個性的なものをしかけてくる。その時に、そういった試験に対応できる人材を高校は育てていかなきゃいけない。もちろんこれは塾の側も同じですけどね」

 

■定員削減がもたらすもの
 公立の前期入試ではトップ校5校(前橋・前橋女子・高崎・高崎女子・太田)が学校独自の総合問題を導入した。こうした方向に舵を切ったのも大学入試改革と無縁ではない。「総合問題自体のレベルも上がったよね。今年などは相当難しいし、いい問題を作るようになってきたと思います」と柴崎氏は説明する。問題自体の質が上がったのは、前期の総合問題を一般に公開するようになった影響もあるのだろう。しかし、それ以上に「その先の大学入試改革を見据えているのは間違いないだろう」と分析する。
 定員削減が実施された場合、倍率は上がることは必至だろうというのが大方の学習塾関係者の「票読み」だ。柴崎氏もこれに同意する。倍率を押し上げる要因は定員減だけではない。全県一学区制が及ぼす影響も無視できない。高崎地区でいえば、安中・富岡・藤岡・渋川からの流入、前橋地区でいえば、伊勢崎・桐生・渋川からの流入があるため、流入志願者が倍率をさらに押し上げることになる。
 高倍率でもトップ校志望者は志願変更をしないという流れになれば「(今回の報道は)私学にとっても悪くない話だ」と話す塾関係者もいる。ボーダーライン上で四苦八苦しているトップ校狙いの受験生にはますます厳しい状況になっていく可能性が高い。
 「まだ保護者の反応はそれほどでもない」としつつも、具体化すれば不安に思う親も増えてくるはずだ。うすい学園でも、この定員削減については引き続き情報収集を続けるという。6月には入試情報会を開き、保護者にフィードバックする予定だ。「(定員減は)あくまで外部環境の変化にすぎません。不安を煽るのではなく、激化する競争を勝ち抜ける学力をつけられるよう、地道に教務力に磨きをかけていくことが大切ですね」と柴崎氏は塾としての内部充実の必要性を訴えた。

(編集部=峯岸武司)

 

《今回取材に協力してくださった学習塾》
うすい学園(本部・高崎市)

1975年、松井田町に横川学習塾として創業。以来、群馬県内を中心に教室を展開。県内外を含め20校を展開する大手塾。

小~高までの指導を手掛ける進学塾「うすい学園」の他、幼児・小学生対象の英会話スクール「アイムイングリッシュスクール」、「Will個別指導学院」、「東進衛星予備校」(FC)などのブランドも展開している。

 

 

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