農大二高が中等部を開設―2023年4月から
東京農業大学第二高等学校(高崎市)が、2023年4月に中等部を開設する。定員は男女あわせて70名で2クラスで編成される見込み。
■0から1を創造できる人材育成
開設される中等部は「『開拓と創造』の精神の育成」を教育目標に掲げ、既存の物事や価値観にとらわれない「0から1を創造できる人材」育成を目指す。その目標を実現するために「語学・グローバル教育」「ICT・プログラミング教育」「理科教育」を3本柱に据える。
設立準備室の手島先生は「たとえば、理科教育の面で言えば、本校は東京農業大学の併設校なので、その強みを生かして、大学の先生の指導の下、(理科の)実験や観察を行いレポートにまとめるなど、他にはない特色を打ち出していくつもりです」と話す。
開設に至った背景について、手島先生は「基本を重視する中学3年間と高校3年間をつなぐことで、より体系的な学習指導が可能になる」ことを挙げる。実際のカリキュラムも6年間一貫教育を前提にデザインされている。
(画像は農大二高 中等部ホームページより)
中等部で3年間過ごした生徒は、編入試験を経て、高校の「一貫コース(仮)」に進学することを原則とする予定である。この一貫コースは高校から入学する生徒は合流できない。
一貫指導のカリキュラム上のメリットとして「たとえば、数学などでは公立中の3年生で学ぶ2次関数の指導に、高校課程で学ぶ内容を織り交ぜながら、体系的な指導を実現できる」ことを挙げる。授業のペースを速く進めて、詰込み的に学習を行うのではなく、関連する高校内容を上手に落とし込むことで、高校課程での学習の理解がスムーズに行えるような指導を目指している。
■高校部での成功を活かして
農大二高もコース制を導入して以降、大学進学の実績を伸ばしてきている。令和3年度の入試では国公立大学に91名送り出し、うち東京大学に2名の合格者を出した。
農大二高の国公立大学の合格実績推移
(データは農大二高ホームページから引用。グラフは編集部作成)
「コース制の導入ももちろんですが、個別指導体制を充実させ、高校2年段階からある程度進路への目標をしっかり持たせ、こまめに面談を行うなどして、大学受験へのモチベーションを維持できるようなフォロー体制ができあがったのも(実績に)貢献していると思う」
中等部でもその成功事例を活かして、授業後のフォロー体制をしっかり構築していく予定だ。
■開設に向けた準備ー現小5生の説明会も開催予定
設立に向けた準備も動き出している。10月19日(火)には学習塾向けの説明会を実施。11月7日(日)、27日(土)には小学5年生向けの中等部説明会も開催する予定だ。
入試については計画段階だが、12月中旬、1月中旬、2月中旬の3回の実施を予定している。3回すべてを受験することが可能。受験教科は2科目型(算国)、適性検査・算数型の2方式。受験回によって方式は割り当てられる見込みだ。
詳細はホームページで確認できる。
(編集部=峯岸武司)