【集中連載】サンタはゲームをくれなかった(2)
少し古いデータになるが、内閣府が2010年度(平成22年度)に行った調査によれば、満10歳以上の小学生が何らかのゲーム機をもっている割合は93.9%にのぼる。中でも「ニンテンドーDS(またはニンテンドー3DS)シリーズ」を持っている割合は最も高く、88.9% 。中高生よりも小学生の方が所持割合が高いという結果になっている。
ベネッセコーポレーションは2014年3月に「Benesse教育情報サイト」の小中学生の子供を持つサイトユーザーを対象にゲームに関する調査を実施した。その調査によれば、8割以上の家庭にゲーム機がある一方で、保護者はゲーム機で遊ぶことについては、「勉強がおろそかになる」「運動をしなくなる」「視力が落ちる」といった理由で6割近くが否定的な意見を持っていることが浮き彫りになった。それでも買い与えるのは「子どもにねだられて、しぶしぶ……」という理由が多いという。
「まず私は持たせてやらせてみるべきだと思う」。こう話すのは、桐生市に住む紀子さん(仮名・40代)。「うちは小3で持たせました」。周りの友達のほとんどか持っていて息子がのぞき見している姿をみてかわいそうに思えたことがきっかけだ。息子は現在、高校生だ。
ゲーム機を親が買い与える時期は、紀子さんの家庭のように、小学低学年が多い。ベネッセの調査では初めてのゲーム機は約8割が小学3年生までに購入している。理由としては「友達が持っていた」から。「ゲームがないと友達と遊んでもらえない」といった声があるように、ゲーム機は子供同士の遊びの必需品となっている面もある。紀子さんの話はそのことを裏付ける。
「ゲーム機、スマホが悪いわけではなく、大切なのは決めたルールを子供が守れるかどうか」。こう紀子さんは言う。ルールを決めたら守るものなのかという記者の問いに、「はっきり言って、守らないよ。だから親は怒る。そして、また破る。その繰り返し。でもね、それでいいじゃない。それだってコミュニケーションだから」と笑って返す。「子供はそんなことを繰り返しながら親の度量を計ってくる。ここまでやるとやばいなとかね」。
むしろ、あれもダメこれもダメだと制約を加えることの方がデメリットだと紀子さんは指摘する。「子供は親の目から隠れてやるようになる。小さいうちならやることもかわいいけど、小学生の高学年や中学生になるとずっと賢くなって、親や先生には見せない秘密の顔をいくつも持つようになる」。
利江子さんは下の子が早い段階でゲームデビューすることを心配していた。この話を紀子さんに投げてみた。
「下の子が興味を持つのも当たり前。いいじゃない。喧嘩しながら、守れないルールを守らせる。それも楽しいよ」
(つづく)
(編集部=峯岸武司)