【学科研究】農業高校ってどんな学校?◆勢多農林高校を事例に
高校にはさまざまな学科が存在します。「学科研究シリーズ」はタブロイド判「みんなの学校新聞」(24年7月上旬発行予定)と連動して、さまざまな学びのスタイルを解説していきます。今回は数ある学科の中の一つ、「農業系の学校」について、県立勢多農林高校の農場長・石井樹一朗先生にお話を伺いました。
職業系専門学科のスクールミッション(公立高校)
◆実践的・体験的な職業教育を通して、各分野における専門的な知識と技術を身に付けることができる高校
◆地域や産業界と連携した探究的な学習を通して、職業人としての豊かな人間性と課題解決力を身に付けることができる高校
赤字は工業系学科のある高校。◎は農業系単独の高校。★私立高校 ※市立太田は商業科のみ高校からの受け入れあり。
農業系を学べる公立高校は県内に9校(勢多農・*伊勢崎興陽・大泉・藤岡北・利根実業・富岡実業・*安中総合・吾妻中央・*新田暁 *印は総合学科)あります。農業系単独の高校は勢多農林(5学科)と藤岡北(3学科)の2校です。
本校を例に話をすると、「植物科学科」「植物デザイン科」「動物科学科」「緑地土木科」「食品科学科」の5学科があります。
〇植物科学科…1年次は農作物の栽培・管理の基礎を身に付けます。2年次以降は「野菜・草花コース」と「作物・果樹コース」に分かれ、栽培から生産調整、加工、販売を一貫して学習します。遠隔地農場に果樹園と水田があり、実践的な技術も身に付きます。
〇植物デザイン科…1年次は農作物の栽培・管理の基礎を身に付けます。2年次以降は「植物バイオコース」と「フラワーデザインコース」に分かれます。「植物バイオコース」はバイオテクノロジーについて学習します。「フラワーデザイン」はフラワー装飾、コサージュ、フラワーアレンジメントなどを学びます。
〇動物科学科…「資源動物コース」「応用動物コース」の2コースがあります。
「資源動物コース」は産業動物畜産(牛・豚・にわとりなどの家畜)の飼育・管理・加工などの知識や技術を身に着けます。前橋市上泉町にある遠隔地農場(約8㌶)で実際に家畜を飼育していて、実践的な畜産の知識を学べます。
「応用動物コース」はトリミングや実験動物について学びます。遠隔地農場で犬の管理や実習を行います。トリミングを3年間通じて学べるのは県内では本校だけで、全国でもめずらしいコースです。
〇緑地土木科…1年次は農業土木・造園・林業に関する基礎を学びます。2年次以降は「農業土木コース」と「緑地環境コース」に分かれます。「農業土木」は国土開発・都市開発のための測量や農業土木設計を学び、「緑地環境コース」は造園技術・植栽などを体験的に学習します。赤城山に演習林(約80㌶)を所有し、植林活動などの現場実習を行います。
〇食品科学科…食品製造・食品化学(添加物など)・食品微生物(発酵)・食品流通に関する知識や技術を学びます。食品産業界で活躍できる人材の育成を目指します。
動画は同校ホームページより
勢多農の農場の様子(同校・学校案内から引用)
卒業後の進路は勢多農の場合、およそ6~7割が大学や専門学校に進学します。就職が3~4割です。近年は進学をする生徒が増えています。
※就職には公務員や自営も含まれています。