「学力重視に舵を切る公立高が増加傾向」群馬進学センター 松本氏ー高校受験対策セミナーで
中3生とその保護者が高校受験に対して前向きに取り組めるようにと未来を創る会(大川渉代表)が企画した「高校受験対策セミナー」が24日、桐生大学附属中学校(桐生市小曽根町、神子澤修校長)で行われた。
■「定員割れ=全員合格」ではない 学力重視に舵を切る公立高が増加傾向
第1部では群馬県統一テストを実施している株式会社GSC(前橋市)社長の松本佳樹氏が登壇し、群馬県の高校入試の動向について話した。
物価高騰など景気がよくない世相を反映して、昨年度の入試は「手に職を付けたいという生徒が増えている傾向」があったと分析。商業系、工業系、農業系など「専門学科の高校の志願者が増えた」と説明した。
また、定員割れしているといっても必ずしも「全入」ではないことを、昨年度倍率が1.0倍を切った県内のある公立高を例に説明。「1.0倍を切っていると言うと”全入”と思われがちだが、不合格者が出ていた」と報告した。定員割れを起こしているからといっても、高校側が授業についていける学力がないと判断した場合には、不合格になるケースがあることを強調した。昨年から志願先変更が2回できるようになったが、1回目の倍率を見て、1.0倍を切っているからと安易に志望校を変更することの危険性を訴えた。
松本氏は、昨年度から導入された公立高校の新しい入試制度についても解説した。「前期・後期入試がなくなり公立入試が一本化され、(今年度は)2年目にあたるが、高校別の選抜の方法については何校かで変更があった」と昨年度、新制度で実施した反省を踏まえ、何校か修正を加えたのではないかと推測した。「変更された傾向として、学力を重視する『総合型選抜』にシフトしてきている印象。国数英の3教科に傾斜配点を取り入れる高校が増えた」と分析した。たとえば、高崎高校は昨年度は総合型選抜のみ国数英を150点満点、理社を100点満点としていたが、今年度は特色化選抜においても国数英の3科目に傾斜配点方式を導入したという。
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「公立高校の入試は高校によって選抜の基準が大きく異なるので、受験を考えている高校がどういう基準なのかをしっかり調べておくことが大切」と話した。
【写真】入試制度について説明する株式会社GSCの松本氏
■目標は自分で決め、努力を継続することが大切
第2部では桐生大学附属中の校長で受験アドバイザーの神子澤修氏が「受験に勝つ方法教えます」というテーマで講演した。
講演の中で、親や先生など他人から設定された目標ではなく、自分自身で決めた目標で志望校を選ぶことの重要性を訴えた。
また、オープンスクールでは「(その学校に)どんな先生がいて、その先生が何を語り、通う生徒たちの表情はどんな様子か」を実際に目で確かめてくるようアドバイスした。「ホームページやパンフレットでは分からない高校の雰囲気に触れることのできる良さがオープンスクールや学校説明会にはあるので、ぜひ親子一緒に参加してほしい」と促した。
受験生に対しては、自身のダイエットの経験を交えながら「1.01の法則」と「0.99の法則」を紹介。「1.01は365回かければ、約37.8になるが、0.99は365回かけると約0.026になってしまう。毎日少しでもいいから継続して努力をすることが大きな力になる」と励ました。
【写真】受験の心構えをとく神子澤先生
【写真】熱心に講演を聴く中3生と保護者
参加した桐生市立境野中3年の栗原煌斗さんは「(勉強を)やったりやらなかったりだったので、神子澤先生の話を聞いて、毎日少しずつでも積み重ねようと思えた」と受験への決意を新たにした。同伴した母親は「子どもの受験は初めてなので、不安が多かったが、具体的なデータなどで説明してもらったり、オープンキャンパスへの参加の仕方なども説明してもらえてとても参考になった」と感想を語った。
同セミナーは25日にメガネのイタガキ文化ホール伊勢崎(伊勢崎市民文化会館)でも開催された。
(編集部)
※記事訂正 9月5日に記事の一部を修正致しました。