【コラム】『励ます』(神子澤修)
私の祖父に関する昔話です。何十年も前の話です。
私の祖父は、富山県で専業農家をしていました。
私が中高生だったころ、よく私を励ましてくれました。
特に、学校の定期試験中、勉強をしない私に対して、部屋まで乗り込んできて
「修、お前はやればできる人間だからやれ。あきらめないでやれ」と言い続けてくれました。
私は、その都度「うるせえなぁ、くそ爺!」と心の中で思いつつ「わかったよ」と言って聞き流していました。
もちろん勉強はやりませんでした。
祖父が80歳で亡くなり、葬儀の際の事です。私は無性に涙が止まりませんでした。
こんなに涙が流れるものか、と思うぐらい涙が流れました。
祖父の、私を認めた上での数々の励ましが走馬灯のように思い出され涙が止まらなかったのです。
祖父の励ましは、見栄とか、世間体とかではなく、本当に私のことを思っていてくれていた、ということに遅まきながら気づいたからです。
私は普段、生徒の皆さんにかつての祖父のように「励まし」続けています。
「やればできるよ。やればできるよ」と。
本当に、生徒のことを思っていれば、いつかはわかってくれると信じているからです。
かつての私のように。
これからも、見栄とか世間体等の私心を持たずに、生徒の皆さんをはげまし続けていこうと思う毎日です。
桐生大学附属中学校 校長 神子澤 修
プロフィール
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