【子育て世代のぶっちゃけ座談会】いまだに学校は黙食って、どーなの?(1)
学校のことや勉強のことなど、子どもの教育をめぐる親の悩みは尽きないもの。「よその家ではどんなふうに考えているのか知りたい」。そんな声に応えて、みんなの学校新聞編集局では、同じ境遇の親たちに集まっていただき、本音で語り合ってもらう場を設けました。題して「子育て世代のぶっちゃけ座談会」。今回のテーマは「いまだに学校は黙食って、どーなの?」です。
◆参加者のプロフィール(名前は仮名です)
えみこさん 今回の「黙食」の話を持ち込んだ張本人
かえでさん 中2の男の子の母。桐生市在住。
かなさん 中1の女の子と高3の男の子の母。桐生市在住。
やよいさん 中1と高3の女の子の母。太田市在住。
ももさん 中2と高3の男の子の母。太田市在住。
司会 みんなの学校新聞編集長 峯岸 武司
(座談会取材は1月26日、桐生市内で行われた)
司会
実はえみこさんからいまだに学校で黙食が行われているという話を聞いて、私自身驚きました。実際、保護者の方はどう思っているのかなと思い、今回、お集まりいただきました。よろしくお願いします。
かえで
えみこさんから聞くまで、まさかまだ学校で黙食をしているとは知らなかったんです。 うちは中2の男の子なので、学校であったことを私に喋ってきたりとかっていうことはないので。
小学校ぐらいまでは「今日給食全部食べられた?」とか「学校どうだった?」とかって子どもに振ったりして話したりとかはあったけれど、中学生になってから、そういう機会もめっきり減ったので…。だからちょっと衝撃でした。
かな
中学生になるとそうなりますよね。子どもは、自分に都合が悪かったり、めんどくさかったら「知らない」とか言うから、「それ以上根掘り葉掘り聞くのもなぁ」ってなりますよね。だから、黙食しているかどうかなんて、学校で「親子給食」があるわけじゃないから、実態は分からないです。
司会
そうですよね。実際、この話は学校現場にいらっしゃるえみこさんから聞いたので、その辺りちょっと聞かせてください。
えみこ
私がいるのは中学校です。給食の時間は授業と同じぐらい廊下は静かですね。給食の時間の音楽がかかっているだけの状態です。
かえで
コロナ禍で黙食になり、それがずっと続いている感じなんですかね?
えみこ
そうそう。コロナの時に黙食になって、もう3、4年も経過しています。子どもたちにとっては「給食ってこういうものだ」というのが、当たり前になってしまったから、子どもは親にもあえて言わないんだろうなって今、想像しました。
(キッズバレイの)ユースセンターの子どもたちに、「ここでいいこと何?」って聞いたら、「みんなと喋りながらご飯を食べられるのが楽しい」って言っています。「そうだよね、学校では喋れないもんね」って。
司会
やよいさんは太田の方ですよね? 太田ではいかがですか?
やよい
中1の娘に聞いてみたら、「そうだけど」って言っていました。「ええ! そうなの」って、私の方がびっくりしました。
司会
同じく太田市在住のももさんはどうですか?
もも
今日、午前中息子が試合だったので、帰りの車内で、「ちょっと、これから黙食の話をしに行ってくるんだけど、学校はまだ黙食なの?」って聞いたら、「そうだよ」って言っていました。私も初めて聞いて驚いたんですけど、息子は「めんどくせえからそのままでいいんじゃね。静かだし」って言ってました(笑)。
司会
机の向きを変えてグループとかにもしてないんですかね?
もも
前向きで、前の人の背中を見て食べてるみたいです。
かな
そもそも黙食だから、グループにはしてないよね。
かえで
子どもが小学校の時は少人数の小学校だったので、食堂があって、全学年でそこで食べるっていう感じだったんですけど、それもコロナ禍で廃止されました。それ以前は1、2年生の前が6年生だったり、異学年で交流があったものが、 コロナ禍で、教室で自分の席で食べるようになったんです。うちの子の場合、小学校3年生くらいからずっとそうだから、今の状態に何の違和感も感じてないんだろうなと思いますね。
えみこ
でも、何で元の状態に戻らないんだろう。
やよい
娘に聞いたら、「先生もその方が楽なんじゃないの」って言っていました。
かな
そもそも給食の時間が短いんですよね。たとえば、別の所ですけど給食時間の短さで急いで食べて低学年は詰まらせるとかあったと聞きます。
司会
給食の時間って何分ぐらいなんですか?
えみこ
多分配膳含めて45分ぐらいかな。
(編集部注)学習指導要領では小学校50分、中学校45分という目安が示されている。一般的に配膳に15分、片付けに10分ほどかかるため、実質食事の時間は20分程度と言われている。
かな
さまざまな事情があってそうなってしまっているのか、詳しいことは分からないですけど、今の(黙食の)状態だと給食の時間が楽しくないんじゃないかなって思いますよね。先生たちもどう思ってるんだろう?
もも
先生たちも忙しいですからね。
かな
お休みがいると、結局はグループにしてもっていうのもあるかもしれない。
司会
あとは喋りたいって思ってる子もいれば、喋りたくない子もいるんでしょうかね?
もも
子どもに聞くと、「向かい合わせは面倒くさいし、向かい合っているからってしゃべらないし」って言ってましたね。
でも、喋らない子がいたり、喋る子もいたり、ただ聞いて笑ってる子もいたりという…関わり方は人それぞれでも学校でそういう場があること自体が素晴らしいことなんだよというのを大人たちは経験から知っているけれど、今の子は知らないわけだもんね。
私、(学生時代、給食の時間に)大好きな人が前にいて、緊張しすぎてストローが鼻に入っちゃったことがあるんです。
(一同爆笑)
かな
向かい合わせで食べるというのは、コミュニケーション能力に繋がるのかなって思います。普段そんなに話す間柄じゃなくても、給食でグループで一緒になったから「話してみよう」という子もいると思うんだよね。
もちろん、そうなっても話さないっていう子もいるとは思うんですけど…。あんまり喋らない子と話すきっかけになるから、コミュニケーション能力を育てるって意味では、そういう機会があった方がいいんじゃないかなって思いますね。
もも
隣にいるけど、どういう子か知らない子っていますもんね。でも、輪になって話してみたら、この子ってこういう子だったんだという気づきがあったりすると思うんですよね。
えみこ
高校生になるとお弁当になって、自由に好きな子と食べていいよってなるみたいです。そこの声がけが難しいし、一緒に食べている時に何を話していいかわかんない。だから、「お弁当の時間が苦痛だ」って娘が言ってるっていう相談を何回か受けたことがありました。
司会
なるほど。
えみこ
高校生になった途端に急に給食は自由な時間 でってなった時に、そこにすごくつまずいて、それこそ教室以外の場所で食べようかっていうことを考えたとか聞きました。こんな話を聞いた時に、中学校で一緒に向かい合わせで食べる経験をしていないことが繋がってるかなってちょっと想像しました。
やよい
高校生の娘に聞いたら、毎日、パーティーみたいで「美味しそう」「わー」って楽しいらしいんですけど、その輪に入れない子がやっぱりいるっていう話です。 一緒に食べる子を探すのに別のクラスまで行く子もいるし、一緒に食べる子がお休みしているときは1人で端っこでこそこそ食べてる子もいるようです。やっぱ苦痛になってしまいますよね。
(つづく)
(取材・構成=峯岸武司)