地元の人が気づいていないところに県外の方々は魅力を感じているー地方創生フォーラム 関学大で
関東学園大学(太田市)で15日、産学官連携による地域活性の可能性をテーマに「第8回地方創生フォーラム 群馬2025」が開催された。
第1部では昨年9月に包括連携協定を締結した大泉町との取り組みを報告。家庭で余っている食品を集めて、必要としている地域の生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設等に寄付するフードドライブ事業や今年4月に行われる大泉町長選・町議選での選挙啓発のためのデザイン協力などの活動が紹介された。
■農業を軸に地域活性化を狙う「おおた6ラボ」事業
第2部は同大学が学生とともに3年前から取り組んできた「太田6次産業化Lab」(おおた6ラボ)の事業報告。農業を軸とした地域活性化の足跡を具体的な事例や課題を織り交ぜながら発表した。
冒頭、参加者全員に開発商品である「大学芋風ジェラート」が配られた。コーディネーターの中村正明教授は「食を考えるときは頭で食べさせろといいますから、ぜひ(アイスを)召し上がりながら聞いて下さい」と場を和ませた。
「おおた6ラボ」は22年3月に同大学と群馬県東部振興局が生産者(1次産業者)の経済的利益創出と地域課題の解決を目指してつくりあげた、食と農のフード・プラットフォームだ。同大学・群馬県の連携に加え、生産者、製造業、販売業を巻き込んで高大連携も絡ませながらプロジェクトを推進してきた。
(引用元:都市との連携をいかした6次産業化による地域活性 | 地域活性学会 関東支部)
■コト×モノ さつまいも栽培関東発祥の地と付加価値商品の開発
「おおた6ラボ」では関東で最初にさつまいも栽培を成功させた只上村(現・太田市只上)の名主・板橋定四郎に着目。「さつまいも栽培関東発祥の地・太田」というストーリーを生かした「OTA自慢作りプロジェクト」を立ち上げた。
さつまいもの栽培は遊休農地の活用に注力する木村園芸が担い、濃厚で上品な甘さが特徴のシルクスイートを生産した。このさつまいもを使って同大学の学生、大泉高校の生徒、山﨑酒造・松井牧場・サンエツフーズ(同市大原町)が商品開発を行い、生まれたのが「大学芋風ジェラート」だ。〝味変〟の仕掛けは大泉高校の生徒の提案で。指導教官の中村教授は「こういう視点は若者だからこそ」と感嘆したという。
また、昨年には東武鉄道とコラボした食と農体験のツアーも企画された。県外から参加者はさつまいも収穫体験や蔓を使用したリースづくりなどを楽しんだという。体験会を受け入れた木村園芸の木村 勝和代表は「私たちが労働としてやっているサツマイモの収穫を参加者はお金を払ってでも経験したいと思っているところが気づきだった」と振り返った上で「地元の人々が気づいていないところに県外の方々は魅力を感じていることをこの3年間で実感した」と報告。「(こういう取り組みが)マネタイズにつながっていくのではないか」と展望を語った。
同大学が地方創生研究所を立ち上げてから今年で10年目。「食と農」で地域を元気を合い言葉に始動した「太田6次産業化Lab」は関わる人々の輪を広げながら進化を続けている。
「さつまいも収穫体験会」の様子(関東学園大学YouTubeチャンネルより)
【写真】フォーラムで発表する同大学学生たち
【写真】フォーラムで発表する同大学学生たち
(編集部)