いきものたちとの旅へ——はしもとみお木彫展、館林美術館で開催 7月から
動物たちの姿を木の彫刻で表現する彫刻家・はしもとみおの展覧会「はしもとみお 木彫展 ~いきものたちとの旅~」が、群馬県立館林美術館で7月19日から9月23日まで開催される。まるで今にも動き出しそうな生命感に満ちた彼女の作品群は、多くの鑑賞者にやさしさと感動を届けてきた。
【写真】はしもとみおさんの創作の様子
はしもとは1980年生まれの彫刻家で、三重県北部の古い倉庫をアトリエとして活動している。彼女の作品の特徴は、どこかにいる不特定の動物をかたどったものではなく、自身の身近で共に生きた動物や、旅先で出会い心を通わせた一匹一匹をモデルにしている点にある。その彫刻は、動物たちの温もりや息づかいまでもが感じられるほど精緻でありながら、どこかぬくもりを帯びている。
今回の展覧会では、はしもとのアトリエを起点とし、木彫の動物たちが暮らす風景をたどるように展示空間を構成している。森、海、街、宇宙といった多彩なシチュエーションの中に配置された彫刻たちは、まるで旅の途中で出会う仲間たちのように来場者を迎える。
展示の見どころは、はしもとの人気の理由とも言える動物の肖像彫刻が、さまざまな背景とともに紹介される点。また、今回初公開となる新作も見逃せない。日本で唯一ラッコを飼育している鳥羽水族館の人気者「キラちゃん」と「メイちゃん」をモデルにした彫刻が登場し、制作の様子や館長との対談動画もあわせて公開される。
さらに、はしもとが昨年初めて手がけた古代の生き物「丹波竜」の巨大レリーフ(長さ7メートル)も展示される。床置きで設置されたこの作品は、観覧者が裸足でその上を歩くことで、直接作品にふれながら鑑賞できる特別な体験を提供する。
展示の締めくくりには、23歳の頃に彼女が親友を励ますために描いた絵日記「あしたやさしくなれますように」の原画(再描画版)を初公開する。リアルな動物たちの姿がペン画で描かれ、鑑賞者に直接語りかけるようなメッセージが添えられている。
本展では一部の彫刻に触れて鑑賞することも可能で、視覚だけでなく触覚を通して動物たちの存在を感じることができる。
会場は群馬県立館林美術館の展示室2~4。開館時間は午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)。会期中の月曜日は休館だが、7月21日、8月11日、9月15日は開館となり、7月22日と9月16日は休館となる。観覧料は一般830円(20人以上の団体割引660円)、大高生410円(同320円)で、中学生以下や障がい者手帳を持つ本人とその介護者1名は無料。平日に限り、群馬県在住の65歳以上の方は2割引となる。
(編集部)
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