【コラム】『体験格差』(神子澤修)
皆さんは、『体験格差』なる言葉をご存知でしようか。
最近、教育界を中心に使われることが多くなっている言葉です。
意味は、子どもが体験することによって生じる格差のことです。もっと具体的に言うならば、子どもたちがおかれている環境によって、スポーツ、音楽、旅行等体験することに大きな差が生じており、その体験活動の差が、いわいる「勝ち組」「負け組」に繋がっている、ということです。
そういう意味では、できるだけたくさんの経験・体験を積ませることで人間の能力を伸ばす可能性が高くなる、と言い換えても良いでしょうか。
以前、あるテレビ番組で、日本柔道のナショナルチームの特集をしていました。当時の監督は井上康生氏。井上監督は、練習のプログラムの中に水泳やお茶等を取り入れていました。柔道なんだから柔道の練習だけをすればいいじゃないか、と私は思いました。ところが、水泳の練習をすることで日頃使っていない筋肉のことを意識できたり、お茶のお点前を通じて精神集中を学んだりできたそうです。そして、その年のリオデジャネイロオリンピックでは、史上最多のメダルを獲得することができました。5年後の東京オリンピックでは5個の金メダル獲得に結び付いたと番組は締めくくっていました。
写真はイメージです(写真AC)
その番組を見て、体験・経験に無駄なものは一つもないと確信いたしました。
私は常日頃、生徒の皆さんにたくさんの体験や経験を積んでもらいたいと思っています。その経験や体験を通じて様々な考え方を学び、自分の行動に生かせる一つのきっかけにしてもらいたいと考えているからです。
そして、その経験や体験を「黄金の1000日」「1000日間戦争」ともいわれている高校生活に繋げていきたいと考えています。
桐生大学附属中学校 校長 神子澤 修
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