センター後継、20年度は民間試験と従来型の併用でー文科省
センター試験に代わり、2020年度から始まる「大学入学共通テスト」の英語の実施について、文部科学省は5月、①2020年度に廃止し、民間試験に移行する、②段階的に民間試験に移行するという2案を示していたが、今月10日、文部科学省が有識者会議に示し、了承されたことで、その実施方針が固まった。
それによると、英語の試験実施は民間試験を活用することで「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価する一方、大学入試センターが作る試験も2023年度まで残し、併用することが決まった。
グローバル化社会が進み、社会構造が変わりつつある中で、コミュニケーション能力を重視した大学受験英語の在り方が模索されてきた。その中で、「読む・聞く」の2技能だけを測っていた従来の試験を、4技能を測るため英検やTOEICなどの民間試験に切り替えていく方向が示されていたが、高校や大学の現場から「2020年度からは運用面で厳しい」などの反対意見が上がっていたことから、4年間の併用を認める形となった。
(参考)文部科学省が示した大学入試改革のビジョン(2016年)PDF
(参考)英語4技能試験情報サイト(外部リンク)
今後、大学入試センターはどの団体の民間試験を認定するかを検討し、今年度中にも決定する見通しだ。受験生は高校3年以降の4月から12月に2回まで、民間試験を受けることが可能になる。
■大学入試改革のロードマップ
民間試験の導入にあたっては、「(TOEICなどの民間試験は)受験料が高く、家庭の経済的な負担が増え、ますます教育の経済格差が進むのではないか」と危惧する声もある。
大学入学共通テストは、国語や数学で記述式問題も導入するなど、知識に加え、課題解決のための思考力や判断力を測る試験にシフトする。大学入試制度では約30年ぶりの大改革となる。
(編集部=峯岸武司)