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編集長コラム「チャットgptはパンドラの箱か」

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編集長コラム「チャットgptはパンドラの箱か」

オピニオン

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2023.04.05 
tags:OpenAI, チャットgpt

 入試が一段落し、いまようやく「チャットgpt」をいじり始めました。いや、これは想像以上の代物です。ファクトチェックが難しいとか、負の側面も語られていますが、善悪含め、今後、さまざまな形で社会に影響を与えていくにちがいありません。とりわけ、クリエイティブの世界のあり方は大きく変わっていくでしょう。

 たとえば、受験をテーマに歌詞を作ってとお願いすれば、それに沿って歌詞を書いてくれます。そして、その歌詞をベースに、「フロンティア」「光」という言葉を入れてとお願いすれば、こんな感じでアレンジしてくれます。

光の先に見えるものを信じて
立ち向かう壁、乗り越えて
新たな世界、フロンティア
輝く未来、目指していこう

 

青い空に広がる、夢の行方
振り返らずに進もう
高くそびえる、その壁を
乗り越える勇気、持っている

 

Take a step, take a leap of faith
Chase your dreams, don’t hesitate
With each obstacle, you’ll grow strong
And the journey ahead will belong

 

信じる力を胸に、突き進もう
光の向こう側に待つ未来
高い壁、乗り越えたときに
広がる景色が、とても綺麗なんだ

 

光の先に見えるものを信じて
立ち向かう壁、乗り越えて
新たな世界、フロンティア
輝く未来、目指していこう

(OpenAI チャットgptにより作成)

「桜をテーマに宇多田ヒカル風の歌詞を作って」と指示を出したら、こんな返しをしてきました。

(イントロ)

(ヴァース1)

あなたと出逢った春に

いくつもの桜が舞い降りた

ふたり手をとり歩いた道も

今は溶けてしまった

(コーラス)

桜の花が散りゆく季節に

もう一度、あなたに会えるなら

手を伸ばし、触れたい

儚く美しい想い出を

(ヴァース2)

あの日の風景が、今も胸に残ってる

あなたの優しい笑顔、あの温もり

もう二度と取り戻せない

桜の花びらが舞い落ちる前に

(コーラス)

桜の花が散りゆく季節に

もう一度、あなたに会えるなら

手を伸ばし、触れたい

儚く美しい想い出を

(ブリッジ)

花吹雪舞い散る頃

あなたとまた巡り会えるなら

今度は、逃さぬように

大切に、あなたを抱きしめたい

(コーラス)

桜の花が散りゆく季節に

もう一度、あなたに会えるなら

手を伸ばし、触れたい

儚く美しい想い出を

(アウトロ)

(OpenAI チャットgptにより作成)


 こうしたクリエイティブな作業は土台をAIに作らせて、そこをベースに人間がアレンジしていけば、創作する時間は大幅に短縮されていくでしょう。これが「創作」と呼べるかどうかは別として。

 自分は「隠れ詩人」として1年に数作、趣味的に詩を書いたり短歌を詠んだり、俳句を作ったりしています。素人はだしでも「創作」とは何かということへの思いやこだわりはあります。ぼんやりしたイメージを元に言葉を紡いで作品に昇華していくのはとても苦しい時間です。この苦しさという闇から光をたぐり寄せ、抜け出す瞬間こそが創作的な快感であり、愉しさだと思うのです。本来なら、こうした苦闘の末に生み出される作品が、瞬時に生産されてしまう。このことで、人間が得るものも少なくないでしょうし、一方で失う部分もまた大きい気がします。言葉を紡ぎ出すという人間固有の知的生産がAIによって量産されれば、ますますもって、人間の想像力や思考力は退化していく気がしてならないからです。

 AIは意見も出します。たとえば、チャットgptにこんな問いをしてみました。

■「スマートフォンが子どもに与える影響について論ぜよ」
スマートフォンは、現代社会において広く普及したデバイスの1つであり、子どもたちにとっても日常生活で利用することが増えています。スマートフォンが子どもに与える影響については、以下のようなポジティブな影響やネガティブな影響が考えられます。

ポジティブな影響:

1)教育において役立つ: スマートフォンは、インターネットに接続することで、検索や調べ物を簡単に行うことができます。これにより、子どもたちは学習に役立てることができます。

2)情報や知識のアクセスが容易に: スマートフォンを使うことで、子どもたちは世界中の情報や知識にアクセスすることができます。これにより、子どもたちはより広い視野を持つことができます。

3)コミュニケーションの促進: スマートフォンを使うことで、友達や家族と簡単にコミュニケーションを取ることができます。これにより、子どもたちは社交的なスキルを身につけることができます。

 

ネガティブな影響:

1)依存症のリスク: スマートフォンは、子どもたちにとって非常に魅力的であり、時間を忘れて使い続けてしまうことがあります。これにより、スマートフォンに依存してしまうリスクがあります。

2)睡眠障害のリスク: スマートフォンを使うことで、ブルーライトが発生し、子どもたちの睡眠の質を低下させることがあります。また、スマートフォンを寝室で使うことで、子どもたちの睡眠時間が短くなる可能性があります。

3)肥満や運動不足のリスク: スマートフォンを使うことが多い子どもたちは、運動不足になり、肥満や生活習慣病のリスクが高くなる可能性があります。

 

以上のように、スマートフォンが子どもに与える影響は、ポジティブな面もある一方で、ネガティブな面もあることがわかります。

(OpenAI チャットgptにより作成)


 ここからさらに深掘りしていけば、もっと具体的な内容を提示してくるでしょう。もはやチャットgptを活用すれば小論文なんて容易に書けてしまう。
 もともと知識のある人間がAIの出してきたものをベースに加筆訂正するのであれば、時間短縮できる頼もしい「相棒」になりえます。ですが、高校生や大学生が、本来、たくさんの参考文献を読み、一つの考えとしてまとめていく作業を「ショートカット」できてしまったら、子どもたちの「考える力」を身につける機会はAIによって奪われていってしまうかもしれません。

 チャットgptはまだ世に放たれたばかりです。にもかかわらず、3月にローンチされたgpt4.0はアメリカの司法試験で上位10%に入り込むレベルに到達したとの報道もありました。
 ITの進化は急速です。OpenAI(チャットgpt開発元)の成功がGoogleに火をつけ、今後、対話型AIの開発競争はさらに激化していくはずです。この先、10年を見据えたとき、どんな世の中が待ち受けているのか。人類は「パンドラの箱」を開けてしまったのか。AIは人類にとって悪魔になるのか天使となりうるのか。新たなインターネット革命の幕開けに、いま私たちは立っています。

(編集長=峯岸武司)

 

※ 本記事は「進め! フロンティア」ブログの記事を加筆・訂正したものです。

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