非認知能力の育成に向け 3高校をSAH指定校にー県教委
群馬県教育委員会(平田郁美教育長)では「予測困難な時代の中で生きる力を育むため、認知能力に加え、非認知能力の育成に取り組む」ことを掲げ、様々な施策に乗り出している。
今年4月に公表された県の教育政策の最上位目標である「群馬県教育ビジョン」の中にも5つの重点政策の1つとして、非認知能力の育成が盛り込まれた。
■非認知能力の育成に向けて
非認知能力とは学力検査では測定することが難しいとされる能力で、やる気、忍耐力、協調性など人の心に関係する能力のことだ。
山本一太知事の掛け声で2023年、OECDの実施する「社会情動的スキル調査(SSES)」に群馬県が日本で唯一参加(県内79高校)した。今年度出される結果に基づいて、専門家を交えて分析・検討を行い、具体的な施策に反映させていく計画だ。
また、非認知能力の育成で先進的な取り組みを行う横浜創英中高(本間朋弘校長)と連携した研究体制の構築にも取り組んでいる。「横浜創英中高の取り組みをコピーすると言うことではなく、連携する中で参考にできる部分は取り入れ、独自の『群馬モデル』を確立したい」と県教委の担当者は話す。県では非認知能力の育成が結果的に社会の幸福度(ウェルビーイング)を高め、よりよい社会の実現につながっていくというビジョンを描く。
■すでに動き出した「SAH」指定校
非認知能力の育成のキーワードになるのがエージェンシー。「エージェンシーというのは自分の人生や周りの世界に対して、良い方向に影響を与える能力や意志をもつこと。その実践的な取り組みを行うため、SAH(スチューデント・エージェンシー・ハイスクール)の指定校・協力校を設けた」(県教委)。SAHでの実践を踏まえ、2026年までには取り組みを県内の中学校、公立高校へ広げていく計画だ。
23年度に指定校になったのは前橋南高校と高崎女子高校の2校。今年度から伊勢崎高校が加わり3校に。指定校では、現場での実践をもとに高校教員と県教委のスタッフが毎週会議を行い、取り組みの方向性を協議したり、情報交換を交わしたりしている。
23年度から実践している前橋南高校では生徒が主体となって「身だしなみのルールの見直し」を行った。アンケートを実施したり、実際に企業・大学を取材。その結果を踏まえ生徒間で議論を交わし、新しいルールを練り上げた。
高崎女子高校では有志の生徒による「主体的な高女検討委員会」が2年に1度の開催だった文化祭の毎年実施を提案。生徒の手で文化祭の毎年開催の実現に向け、動き出している。
SAH指定校のロゴマーク
SAH協力校のロゴマーク
協力校は指定校の実践事例を共有したり、研修会を行う位置づけだ。協力校は現在6校(前橋高校・前橋女子高校・高崎高校・渋川高校・渋川女子高校・富岡高校)。協力校については、「高校側から手が挙がれば、年度途中からの参加もできる」と県教委では話している。
県教委ではSAHを浸透させるため、ロゴマークを作り、SAHのウェブページやインスタグラムを開設。各校の取り組み事例を紹介していく予定。
(編集部)