ぐんま国際アカデミー中等部でボクシング村田諒太さんが講演
ぐんま国際アカデミー中高等部(群馬県太田市・金子弘幸校長)のキャンパス内にあるアライホールで20日、ロンドン五輪ミドル級金メダリストで元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太さんによる講演会が行われた。中高等部の生徒や保護者ら約100人が参加し、村田さんの話に耳を傾けた。
【写真】講演する村田さん
今回の講演会は、日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)が、アスリートとともに社会課題解決の輪を広げていくことを目的とした「HEROs~Sportsmanship for the future~」プロジェクトにおいて、アスリートが学校を訪れ、生徒たちの社会課題に対する意識の向上と、社会課題解決のためのきっかけをつくる「HEROs LAB」の一環。同財団がサポートする「高校生ボランティア・アワード2022」で、村田さんが同校の「#yellowforthefutureプロジェクトチーム」と交流を持ったことをきっかけに実現した。日々変化を遂げる国際社会の中でリーダーとして必要な能力と知識を備えた国際人の育成に努める同校を訪れる運びとなった。
講演では、継続的に少年院や福祉施設を訪問するなど社会貢献活動に取り組む村田さんが、「罪を犯した人の更生」をテーマに自身の経験を踏まえた考えを生徒たちに伝えた。
後半は、少年院・刑務所の出所者が社会復帰する際に直面する「仕事に就くことが難しい」などの課題について、これら課題をまず知ってもらうために、できることは何があるかをテーマにディスカッション。生徒たちはグループに分かれ、課題解決のための意見を出し合った。
【写真】ディスカッションに加わり意見を交わす村田さんと生徒たち
生徒から出た「出所者の社会復帰には被害者からの理解が必要。被害者の声が一番心に響く。出所する際に被害者の声をもう一度、伝えてあげることが重要では」という意見に対し村田さんは「被害者からの意見を届けることは重要。このテーマを考えるときに見落としていたところ。そこに気づけたことは素晴らしい」と称えた。
他のグループからは「NPO法人など、出所した人を支える団体を設立し、働ける環境をつくり、しっかりと働いているという実績をつくることが大切。出所者が入りたい会社があれば、証明書のようなものを用意し、就職で不利にならない支援をしてはどうか」という意見も。これに対し村田さんは「そのような団体はすでにあるが、経営のすべを教えてあげることが重要だと思う。大企業の経営者が自走できる仕組みを教えたり、出資するなどサポートをすることがいいのでは」と自身の考えを述べた。
ほかにも「SNSを活用し、世界中に偏見をなくす情報発信をする」や「刑務所内を撮影したユーチューブチャンネルを開設し、更生に取り組む様子を知ってもらう」などの意見が出た。
村田さんは「今回のような社会課題解決を考えるときに、年齢や経験は関係ない。ディスカッションを大切に、みんなの意見を共有することによってさまざまな意見が出て課題解決につながる。皆さんとのディスカッションによって新たな気づきがあった。ありがとうございました」と話した。
【写真】参加者全員による集合写真(ぐんま国際アカデミー中等部アライホールで)
(編集部=臼井晃斗)