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「落ちてしまった子へ配慮を」「進学先分かった方がいい」─当事者の声、賛否は複雑 群馬県公立高校の入試改革で合格発表後の卒業式に

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「落ちてしまった子へ配慮を」「進学先分かった方がいい」─当事者の声、賛否は複雑 群馬県公立高校の入試改革で合格発表後の卒業式に

高校入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2023.08.22 
tags:アンケート, 公立高校入試, 卒業式, 群馬県, 群馬県教育委員会

 来年2月の2024年度入学者選抜から、従来の前期・後期を一本化して一発勝負となる県公立高校入試。それに伴い、合格発表の時期が公立中学校卒業式よりも早まることを懸念する声がある。従来は卒業式後だった合格発表が、卒業式前となることについて、受験生や保護者はどう思っているのか。伊勢崎市の学習塾などの協力を得てアンケートを行い、同問題について率直な思いを聞いた。

 

 桐生タイムス社の運営サイト「みんなの学校新聞」の取材の一環で実施。同サイトで連携する伊勢崎市内の学習塾「フロンティア進学ゼミ」の協力を得て7月9~22日、主に県内在住の受験生(中学3年生)とその保護者を対象にインターネットを通じて行い、51人から回答を得た。

 

 アンケートでは「公立高校の合格発表が卒業式の前に行われることについてどう思うか」について質問。「大いに問題がある」「問題がある」「どちらとも言えない」「あまり問題ない」「まったく問題ない」の五つの選択肢を示して回答を求めた。

 

 問題がある(「大いに」含む)と答えたのは12人(23・5%)。その回答理由について受験生からは「もし落ちてしまったときに気まずい」(10代女子)、「クラスメートの中で合否が分かれるので、問題になる可能性もある」(同)、「合格した人も不合格だった人も配慮しないといけない」(同)などの意見が出た。

 

 また保護者からは「不合格となった場合、卒業式に出たくないという心情になるかも」(40代女性)、「落ちてしまった子への配慮ができない」(50代女性)、「(不合格だった子には)乗り越える時間や環境が必要。晴れ晴れとした顔で卒業式に参加できるよう配慮を」(50代女性)などの声があった。

 

 さらに「前期で不合格になった(子どもの)気持ちに配慮して(前期・後期の入試を)一本化した割に、卒業前の(合格)発表では子どもへの気持ちの配慮ができていない」(40代女性)と入試改革への厳しい指摘も寄せられた。

 

 「どちらとも言えない」と答えたのは20人(39・2%)。その回答理由について「合格しなかった人と気まずくなるから」(10代女子)、「合格すれば万歳だが、そうでなかった子もいるかもしれないので微妙」(40代女性)、「合格であれば良いが、不合格の場合学校に行けるか心配」(50代男性)などと、不合格者の心情を懸念する回答が10人に上った。

 

 「決まっていない子の心的ストレスがある」(40代女性)、「落ちてしまった場合、気まずい思いをしなければならない。笑ってダメだったよーと言える子ばかりではない」(40代女性)、「希望の結果にならなかった生徒のケアをどのようにするのか対応が難しい気がする」(40代男性)などの意見も出た。

 

 一方で、問題ない(「あまり」「まったく」含む)と答えたのは19人(37・3%)。その理由について受験生からは「受かっていても落ちていても、学校に通っているうちに結果が出て、みんなとそのことについて話せる」(10代女子)、「私立に行くという選択肢がある」(10代男子)、「いつ発表されても結果は変わらない」(10代男子)などの回答があった。

 

 保護者の回答理由では「みんな進学先が分かった上で卒業式の方が良い」(40代女性)、「子どもたちはあまり気にしない気がする」(40代女性)、「卒業式後に(合格)発表している県の方が少ない。群馬県も同様でよいのでは」(50代女性)、「みんなが笑顔で卒業式を迎えられるよう頑張る」(40代女性)などの意見が寄せられた。

 

 今年の県公立高校後期入試は3月8、9日で、同13日の中学校卒業式が終わった後の同16日に合格発表が行われた。改革後の来年の一発勝負の入試は2月21、22日で、合格発表は3月5日。その8日後の同13日に中学校卒業式が行われる。

桐生タイムス

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