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【学校探訪記】「燃えよ前商生」継承される伝統校の熱量(前編)

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【学校探訪記】「燃えよ前商生」継承される伝統校の熱量(前編)

高校入試

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2024.04.30 
tags:前商, 前商 至誠一貫, 前商 進路, 前橋商業, 前橋商業高校, 学校探訪記

 県立前橋商業高校(前橋市、田島正德校長)は今年、創立104年を迎える。漫画家のあだち充さんの母校としても知られている。県内屈指の実業高校ゆえに通学している生徒のエリアは広範だ。約半数は前橋市内だが、高崎市、伊勢崎市、渋川市からも多くの生徒が通う。桐生・太田・沼田方面から通学する生徒もいるそうだ。  
 県内の公立高校では最高層の7階建て校舎や人工芝のグラウンド、PC室が5教室(1教室に40台ほどのPCが設置)あり、ICTスタジオも設置されるなど、充実した学習環境を備えている。


前商での学びー校訓「至誠一貫」の徹底
 「校訓の『至誠一貫』を常に子どもたちに伝えています。初代の校長先生のこの言葉は、誠実さを貫き通すということを意味しています。本校の指導では相手に対して真心をもって接したり、あいさつしようということを大切にしています」と田島正德校長。

【写真】校長室に掲げられた校訓「至誠一貫」

【写真】田島正德校長(校長室で)

 

 1年次は商業、簿記、情報処理科目の基礎を身につけ、2・3年次は情報コース・会計コース・商業コースの3コースに分かれて専門分野を学ぶ。全商簿記検定や情報処理検定などの資格取得に力を入れている一方で、企業などと連携した「課題研究」の授業や「事業計画書を作成できる高校生」を目標にした「起業実践」と呼ばれる前商独自の設定科目もある。「群馬イノベーションアワード(GIA)」などのビジネスプランコンテストにも出場し、実績を残している。

【画像】前橋商業学校案内パンフレット(2024)より引用

 

7割が進学ー進学校さながらの「進路説明会」
「実業高校というと昔は就職のイメージが強かったのですが、今は就職は3割(23年度は27.5%)ほどで、7割が進学しています」と田島校長は大学進学も目指せる高校だと強調する。
 実際、2023年度の4年制大学の進学者数は114名(国公立5名、私立109名)で全体の約42%。全商推薦や指定校推薦も充実しており、学習院大、中央大、立教大、立命館大など有名私立大の推薦枠も持っている。短大、専門学校を含めると72.5%の生徒が進学している。
「今、進路説明会をやっているから見ていってください」。齊藤孝子教頭に促されて、案内されたのは最上階7階の多目的ホール。ホールの外にも熱のある声が響いてくる。
「これが、前商生の大学進学の強み。弱点も言いましょうか…」。

耳を傾けると、進路指導主事の熊谷博先生がホールに集まった3年生270名を鼓舞していた。自作のパワーポイント(プレゼンテーションソフト)のスライドを使って、大学受験について熱弁を振るう。そして、それを熱心に聞く生徒たち。時折、熊谷先生の冗談に子供たちから笑いがこぼれる。進学校の進路説明会ではないかという熱量に圧倒された。

【写真】熱弁をふるう熊谷先生

【写真】進路説明会の様子

【写真】進路説明会の様子

 進路説明会が終わると、ホールから続々と高3生が出てくる。

「こんにちは!」「こんちは!」。元気のよいあいさつが記者に向けられた。「至誠一貫」という校訓が浸透していることをこの場で実感した。通りがかった3年生の生徒に聞くと「高1での赤城研修で前商生としての基本を叩き込まれるんです。厳しい研修ですけど、それを乗り越えれば、本当に楽しい学校です。あいさつもホントすごいですよ」と教えてくれた。

 

生徒主体の学校運営ー身だしなみルールも生徒の手で
 「今回は生徒会役員の2人に学校案内をしてもらいます」。進路説明会に参加していた戸谷浩幸先生が、生徒会長の齋木未来さん(3年生・情報コース)と副会長の飯島百香さん(同)を紹介してくれた。(学校の施設案内は【後編】で)
 「学校探訪記」の取材で実際に在校生が学校紹介してくれるというのは初めての体験だった。そのことを齊藤教頭に話すと、「本校は生徒主体を大切にしているんです」と説明してくれた。
「たとえば、昨年まで靴下に関しては女子は白オンリーだったんです。それを生徒会が中心に動いて、黒も可になりました。その前の年は夏のポロシャツの導入です。生徒の思いに教員も応えて一緒にデザインを決めたりしました」(齊藤教頭)

 玄関の柱に、こんな標語が掲げられていた。

見つめなおそう 自分の行動 スマホの利用

SNSのコミュニケーションだけでなく普段の会話を大切にしよう
ケータイ打つなら、電卓打とう!

「これも、生徒が決めたルールです。ただ、自分たちで決めたルールはしっかり実践しようねという指導はしています」(齊藤教頭)
 現在、同校は「三兎(さんと)追え」という中村清志 前校長の言葉を継承して、勉強、部活、学校行事に全力に取り組んでいる。
「高校総体で総合優勝したり、甲子園行ったり、商業競技大会も連覇して、前商祭もスポーツフェスティバル(球技大会)も盛り上がる。そんな学校です」と田村校長は胸を張った。
「燃えよ前商生 目指せ日本一」。校舎の壁に大きく掲げられたスローガン。学校の取材を通して、このスローガンが形だけのものではないことを実感した。すれ違う生徒全員が記者に向けてかわしてくれる元気なあいさつが、この高校の熱量や勢いを何より物語っていた。

  【後編】は生徒会の2人に案内してもらった施設紹介をします。

(編集部)

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