【シリーズ】校長に聞く(第2回) 足利大学附属高校 長沼宏彰校長
24年4月1日付で、足利大学附属高校(栃木県足利市)の校長に就任した長沼宏彰先生(61)に「どんな学校にしたいか」「どんな校長になりたいか」などインタビューしました。
――校長就任おめでとうございます。どんな学校にしたいと考えていますか。
「本校は普通科・工業科・自動車科・情報処理科の4つの科をもち約700名の生徒が通う総合高校です。生徒がおぼろげながらでも夢を持って入学してきていると思うんです。それを現実に導いていく。そういう思いに応えていける学校にしたいですね」
【写真】足利大学附属高校の長沼宏彰校長(校長室で)
――現実に導くとは?
「進学にしても就職にしても資格試験がものを言うと思います。資格試験を取得できるようにサポートしていく。おぼろげに描いてきた夢を資格取得などを通じてより具体的なものにしていくのが総合高校としての本校の役割だと思っています」。
――足利大学附属高校の他校にない特色ってなんですか。
「本校を含むこの学園は足利市内の鑁阿寺などの17カ寺院の仏教寺院によって運営されている学校法人です。その一つに足利大学附属高校があります。だから週1時間、宗教という授業があります」
――仏教系というのは初めて知りました。宗教の時間というのはどんなことを学ぶのですか?
「仏陀について、聖徳太子について、般若心経についてなどを学びます。また関連して花祭りなど年4回の宗教行事もあります。そういうものを通して情操教育につなげていく。せわしない時代の中で、ふと我に返り、周りを見渡す時間。思索をめぐらす時間。そういう心の余裕を持てる授業です」
――建学の精神である「和の精神」もその辺りと関係があるのですか?
「もちろん、関係あります。17か寺院には様々な宗派があるわけです。統合のシンボルとして聖徳太子がいます。正門のブロンズ像は聖徳太子、しかも高校生の年代くらいの太子像なんです。だから17条の憲法の『和をもって貴しとなし(以和以貴)』を建学の精神に据えているんです。余談ですが、系列の足利大学の聖徳太子は成年の太子像になってるんです」
――そもそも長沼先生が教員を目指したきっかけって何でしょう。
「小3のとき担任をしてくれた鶴牧先生という男の先生がいらっしゃって、ものすごくいい先生だったんです。僕はその先生のことが大好きでした。教え方も上手だし、子どもたちへの関わり方とかもうまかったんです。笑いもあり、厳しさもあり…本当に素晴らしかった。でも、4年生の時には異動になってしまいました。異動したときには悲しくて涙が止まらないくらいショックでした」
――何か印象に残るエピソードなどありますか?
「うまく言えないんだけど、そんな派手なエピソードとかあるわけじゃないんです。でも、たった1年間、しかも小学3年生の頃に教えてもらっただけなのに、自分の人生にはものすごい影響を与えてくれました。91歳で亡くなってしまったんですが、それまでの間、ご自宅に何度も遊びに行きました。晩年は年賀状のやり取りを交わすくらいになってしまったけれど、付き合いは続きました。本当に深い間柄でしたね」
足利工業大学(現・足利大学)で機械工学を学び、卒業後、足利工業大学附属高校(現・足利大学附属高校)の工業系の教員として働きはじめた。
――鶴牧先生の影響が大きかったんですね。
「はい。もし自分が教職の道に進むようなことがあれば、鶴牧先生のような先生になりたいなという気持ちが心のどこかにあったんでしょうね。教師になった後は、工業の先生だから、モノづくりの楽しさを伝えたいという思いでやってきました。卒業後も付き合いが続いている生徒もいて、そういう子が連絡をしてきてくれるのは、この仕事をしていて嬉しい部分ですね」
(聞き手・峯岸武司)
インタビュー後、入試広報部長の山口廣訓先生が校内を案内してくださいました(次回につづく)。