卒業ソングの定番を聞いてみた。
3月13日(月)は県内の多くの中学校で卒業式だ。今週は公立後期入試も終わり、中学校では卒業式の予行練習などが行われているところも少なくないはずだ。
県内の高校・中等教育学校・特別支援学校(96校)では一足早く今月1日に卒業式が行われ、約1万7000人が巣立った。
朝夕はまだ肌寒いが、ところどころで梅が咲き始め、日中は風があるものの少しづつ春めいた陽気になりつつある。そして、卒業をテーマにした楽曲が体育館やラジオ、店内から聞こえてくるのもこの時期だ。
卒業式の定番ソングって何か。街の声を拾った。
主婦の順子さん(仮名:みどり市)は、「長女をはじめ、地元の小学校の卒業式で毎年歌われる曲なので」ということで、「旅立ちの日に」を挙げる。
「旅立ちの日に」を推す声は多かった。
埼玉県の県立高校の社会科教諭の隆弘さん(仮名)も「今の勤務先の学校では『旅立ちの日に』を歌いますよ」と、この歌を挙げる。
「旅立ちの日に」といえば、秩父市立影森中学校の教員たちによって作られた曲だ。
当時の校長先生が、荒れていた中学校を良くしようと、「歌声の響く学校」づくりを目指し、音楽科の先生とともに立ち上がったエピソードは有名だ。最初こそ生徒たちは抵抗したものの、粘り強い先生たちの努力の末、歌う楽しさは子どもたちにも伝わっていった。
1991年2月、その集大成として、音楽科の先生が「卒業する生徒たちのために、何か記念になる、世界にひとつしかないものを残したい」と、校長先生に歌詞を依頼した。この誕生秘話とともに、この歌は全国的な拡大を見せた。今では、卒業ソングの代表格といってもいい。
伊勢崎市の豊さん(仮名)はレミオロメンの「3月9日」を挙げる。この曲も定番だ。2004年に発表された楽曲だが、10年以上も支持されている。「タイトルが日付というのが印象深いし、卒業式の日を連想できていい」と豊さん。インターネットの検索では、毎年この時期になると上位に上がってくる。もともとは結婚式をテーマにした楽曲だが、歌詞の内容から、いまではすっかり卒業ソングのスタンダード・ナンバーになっている。
“放牧宣言”で活動休止に入ったいきものがかりの「SAKURA」や「YELL」も、卒業ソングの常連だ。桐生市の紀子さんは森山直太朗の「さくら」をあげる。こちらも定番だ。
ここ数年の楽曲ではflumpoolの「証」やGReeeeNの「桜color」なども「卒業生を送る会」などで歌われているそうだ。大原櫻子も支持されている。もちろん、昔からの定番曲である「仰げば尊し」や「贈る言葉」も健在だ。
こんな声もあった。
今年、群馬大学を卒業する久実さん(仮名)は「う~ん。卒業式当日は校歌くらいしか歌っていないと思いますよ」。たしかに校歌は校歌で素敵な卒業ソングだ。
(編集部=峯岸武司)