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塾っていつから通わせる? 

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塾っていつから通わせる? 

教育全般

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2017.03.19 
tags:中土井鉄信, 塾通い, 塾選び, 学習費調査 文部科学省, 通塾率

この春、塾に通わせるべきか?

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 新学期を控えたこの時期、塾に通わせようかどうか悩んでいる保護者も少なくないはずだ。

 前橋市内のある大手塾講師は「小学生の場合は、中高一貫校などの受験を考えて塾に入る場合と、学校の授業内容の補助的な側面のどちらかが通塾動機になっています。中学生も同様ですが、3年後の受験をにらんで計画的に中1から通わせる場合と、成績が下がり始めてから入塾するケースがあるようです」と話す。

 いつから塾に通わせればいいのか。こんな質問を保護者・塾関係者に聞いてみた。

 

 東京都杉並区に住む共働き家庭の村山まりこさん(仮名)は、娘が小4の時に塾に通わせた。村山さん夫婦の住むエリアはクラスの約半数が中学受験をする地域だ。村山さんは特に中学受験を考えていたわけではなかった。きっかけは「もう学童クラブに行きたくない。放課後は友だちと遊んだり塾に行ったりしたい!」と言い出したからだそうだ。宿題がないのも同然の小学校だったのと、共働きで、まったく勉強を見てあげられなかった環境が通塾を後押しした。

 

 村山さんは「結論は行かせて本当に良かったです。とにかく本人は授業が面白い』と毎回言っていました。科目別じゃなくて担任制で、子どもの性格から家庭の事情まで良く知ってくれて、共働きであまり手がかけられていない我が家にとって、育児に伴走してくれたという気持ちがあります。小規模で地域密着の塾だったからかもしれません」と話す。

 村山さんは下の子の通塾も検討している。「どこにも行かせないと、春・夏・冬の長期休暇を丸1日子どもだけで過ごさせるのは難しいので…」。

 共働きが多い時代、村山さんのように「子育てのアウトソーシング」として塾を考える家庭も少なくない。

 

 

 ベネッセコーポレーションが2013年に行った調査によれば、小5~中3に上がるにつれて、通塾率が上昇している。小学生での通塾率は4割弱。これは中1でも続く。中2で通塾率が跳ね上がるのは、「学習内容が難しくなり、自力ではどうにも出来なくなったからではないか」とは先の前橋市内の講師。中3になると一気に数字は跳ね上がり、およそ6割が何らかの形で学習塾に通っていることになる。

 

■通塾率の推移(2013年)

通塾率

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ベネッセコーポレーション資料より作成)

 

 塾側の事情はどうか。伊勢崎市内のある学習塾塾長は「営業面は一切取り払って、高校受験をまじめに考えているのであれば、中1からの通塾をすすめたい」という。

 この塾長の話によれば、特に英数はカリキュラムが階段状になっていて、つまづきの度合いが深くなると途中からの挽回が難しくなるからだそうだ。そして、大学受験を狙える高校を考えた場合、公立高校では英数国の3教科は傾斜配点で配分を厚くしている高校が多い。

 「英数はテレビドラマのような感じで、第5話くらいから見始めても、よく話がつかめないですよね。あれと似ています。結局1話から見ないと作品は味わえない。英数については、つまづき具合にもよりますが、結局前にさかのぼることになりがちです」。

 たとえば、中1の数学で考えた場合、

 夏休み前後に学校で学ぶ1次方程式でつまづいて、塾に入ってきた場合、その前の単元の「正負の数」の計算のルールや「文字式」のルールで、すでにつまづいている場合が多い。「この場合、方程式をいくらやらせても積みあがらないんです」

 中1の場合、わりと冬くらいから通い始める子も少なくないという。この時期の入塾は「成績が急降下したから」という理由が多い。「冬くらいだと結構進んでしまっているので、英数でつまづいていると、本当に大変です」と先の塾長は言う。

 

 とはいえ、費用を負担する親側とすれば、費用に見合った成果は期待してしまう。通わせても成果が上がらないのであれば、余計な出費は控えたいという親も少なくないはずだ。

 

教育費 文部科学省の「平成26年度 子供の学習費調査」(図)によると、公立中学校の生徒でも教育費に占める補助学習費の割合は学年が上がるにつれ上昇する。補助学習費とは、家庭での学習に使用する物品・図書の購入費、家庭教師費、学習塾費などの支出だ。その割合は、中1でも教育費全体の66%に上る。中2になると、73%になり、中3では87%に膨らむ。

 

 このデータを分析したネットメディア「キャリコネニュース」のokei氏によれば、「結論から言うと、塾や習い事代がスゴイ」。通塾期間が長くなることで、経済的な負担も少なくない。

 その意味で、通塾を考えている保護者からしてみれば、塾選びは慎重にしたいところだ。

 

(参考)塾最強コンサル・中土井鉄信氏が指南する塾の選び方 (上) (下)

 

 一方で塾を選ばなかったケースもある。桐生市の伊藤紀子さん(仮名)は家庭教師を利用した。塾ではなく家庭教師を選んだのは、「友達が通っていて塾を辞めたいとか行きたくない話しをしているのを聞いていたから」。

  伊藤さんは、「是が非でも進学校へとか私立の中学へとかは考えてなかったから。勉強で分からないことを聞けて自分のペースで勉強ができる家庭教師が息子には合っていた」と話す。 塾を選ぶかどうかは、親や本人が将来の進路をどう考えているかにもよるのではないかという。

 

 県内の多くの学習塾で、春休みは「春期講習」が開催される。お試しの意味で通常の受講料に比べ、格安な費用で受講できるケースも少なくない。検討しているのであれば、こういう機会を利用するのも手かもしれない。

(編集部=峯岸武司)

 

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