桐工建設科チーム、第15回建築甲子園で5年ぶり2度目の日本一
県立桐生工業高校(島秀有校長)の建設科チームが、日本建築士会連合会主催の第15回建築甲子園で優勝を果たした。作品は桐生新町重要伝統的建造物群保存地区に隣接する地の利を生かしての「ハレもケの日も祇園屋台」。5年ぶり2回目の全国制覇だ。
桐工では「買場紗綾市活性化計画」で第5回建築甲子園に準優勝したのをはじめ、毎年この地域をテーマに調査研究、分析して、建築と街づくりにユニークな提案をしてきた。第10回は「桐生新町重伝建に建つ地区センター ヒカリ~雷~ギザギザ」で、先輩たちが構想した「お散歩映画館」や「三つ子の宿」などの蓄積の上に、地域内外の人が集う核としての施設を描き、見事全国一に。
そして今回は、桐生祇園祭の屋台を、伝統的な祭礼時だけでなく日常的に地域に開いて生かすべく、江戸期当初の7間×40間の町割りの上に、3階建ての保存・修復・展示施設であり頭一家の住まいであり、祭事には通りに屋台を引き出した空間を舞台芸能を楽しむ場として変化させるプランを策定した。
チームは4人と少数精鋭。牛久保心星さん、清水拓海さん、清水璃奈さん、山口眞史さんで、みな3年生。祇園祭や鉾・屋台はこのコンペまで知らなかったけれど、昨夏に神輿担ぎに参加したり四丁目の鉾座や三丁目の翁蔵を見学するなどして、歴史の重みや魅力に気付いたと語る。
地域の高齢化や組み立て解体保存にかかる経済的負担などの問題も実感した上での「ハレもケの日も」の提案だ。「仕舞われていた屋台は人の手で組み立てて完成する。保護するだけでなく、地域の人とのつながりでどんな役目を果たせるか、考えました」と牛久保さん。住まいや鑑賞空間の家具のデザインや配置を担当した清水璃奈さんは「限られた時間内でテーマに合うよう、慎重にバランスをとり、クオリティを高めました」。「ただの蔵ではなく、普段に街に溶け込み、開き、郷土愛を育むものにできるか。街が生き生きする都市計画も考えたい」と山口さん。
全国68校115作品のなかから県予選を通り、プレゼン動画には建築科のドローン班も協力、八木節の軽快なテンポに載せて制作。審査の結果、優勝を決めた。
監督の上石賢一教諭は「地の利を生かして重伝建をテーマに10作目。二丁目屋台の扁額に『縦楽』とあるように、歴史に裏付けられつつ、だれもがいつでも楽しめるプランが提案できました」と快挙を喜ぶ。
表彰式は22日、桐工で日本建築士会連合会の審査委員らが参列して実施される。