草津町、「家族体験学びの日」制度を導入 観光地ならではの家族支援策
群馬県草津町は今年度(25年度)4月から、「学校特別休暇制度(家族体験学びの日)」を正式に導入した。これは、保護者の勤務形態に合わせて子どもが平日に学校を休んでも、欠席ではなく「出席停止など」の扱いとする制度。
観光業が町の主産業である草津町では、旅館や飲食店などに勤務する保護者が多く、土日や長期休暇は繁忙期となるため、家族がそろって過ごす時間を確保するのが難しいという課題があった。そうした背景から、家族とのふれあいや体験を通じた学びの機会を保障する目的でこの制度が設けられた。
制度の対象は町内の小中学生で、年間3日まで取得可能。保護者が事前に申請し、校長の承認を得ることで平日に家族で過ごすことができる。活動内容は自由であり、旅行やキャンプ、自然観察、美術館や博物館の見学など、家庭ごとに目的を立てて計画を練る。申請時には、行き先や体験内容、目的などを記入する必要があり、子どもだけで遊ぶなど、趣旨と異なる取得は認められていない。あくまでも保護者とともに過ごすことが前提だ。
同町の制度では、入学式・卒業式・定期テスト・修学旅行など、教育課程上重要な行事と重なる日は対象外となる。休暇中に受けられなかった授業については、学校から教材やプリントなどが提供され、家庭での自習により補うことになる。
「家族体験学びの日」のような仕組みは「ラーケーション(Learning+Vacation)」と呼ばれ、両親がサービス業などに従事し、家族で旅行することが難しい問題を解決する手段として全国的に議論され始めている。公平性や、授業運営への影響といった課題もあるが、家族で過ごす時間が確保できると歓迎する声もある。町教委によると、すでに栃木県日光市や大分県別府市、沖縄県座間味村などでも同様の制度が導入されているという。「現時点で保護者からの反応は特に寄せられていない」(町教委)というが、県内の先行事例として今後の動向が注目される。
(編集部)