【学科研究】工業高校って何を学ぶの?◆前橋工業高校を事例に
高校にはさまざまな学科が存在します。「学科研究シリーズ」はタブロイド判「みんなの学校新聞」(25年7月上旬発行予定)と連動して、さまざまな学びのスタイルを解説していきます。今回は数ある学科の中の一つ、「工業系の学科」について、県立前橋工業高校の塩野入浩二先生にお話を伺いました。
職業系専門学科のスクールミッション
◆実践的・体験的な職業教育を通して、各分 野における専門的な知識と技術を身に付ける ことができる高校
◆地域や産業界と連携した探究的な学習を通 して、職業人としての豊かな人間性と課題解 決力を身に付けることができる高校
赤字は工業系学科のある高校。緑字は土木系の学科がある学校。★私立高校 ※市立太田は商業科のみ高校からの受け入れあり。
工業高校には、機械・電気・情報・建設・化学・デザインなど、様々な学科やコースがあります。専門的な知識や技能を磨き、卒業後は就職だけでなく、大学や専門学校への進学も可能です。将来はものづくり産業を担うスペシャリストを目指せます。
工業高校というと毎日実技(実習)の授業をやっていると思っている中学生もいますが、3年間のうち、半分くらいが実習を含めた工業系の科目で、残りの半分は数学や英語などの普通科目を勉強します。3年間一貫して同じ専門を学ぶ学校や1年次は工業全般の基礎を学び、2年次からコースを選ぶ学校もあります。
前橋工業高校の場合は前者で、学科は6学科(機械科、電子機械科、電気科、電子科、建築科、土木科)があります。
学科について大まかに説明すると、
「機械」と名付けられた学科
工業高校の機械科というは、金属などを切ったり貼ったり曲げたりという加工について学びます。金属に限らない材料の加工も含まれます。本校の電子機械科はロボット制御などプログラミング的な要素を学び、エンジニアを養成しています。
「電気」と名付けられた学科
発電、屋内配線や送電・配電など、電気システムの仕組みについて学ぶ学科です。電気工事士などの資格取得を目指します。
「電子」と名付けられた学科
半導体などの電子回路やコンピュータのハードやソフト技術や通信技術を学ぶ学科です。プログラミングなども学習します。
「建築」と名付けられた学科
建物の設計や造り方を学びます。建物の構造や設計・施工・法規など総合的な知識や技能を身につけます。
「土木」と名付けられた学科
道路や鉄道、ダムなど生活を支える社会基盤の整備について学びます。測量や設計、施工について学び、測量士など関連する資格の取得を目指します。
卒業後の進路はどの工業高校も就職と進学が半々のイメージです。就職については求人数も多く、トヨタ自動車や東京電力など大手企業から内定をもらう生徒もいます。本校は公務員就職が強く、毎年、国家公務員(国交省など)や地方公共団体の職員(県職員、市職員など)として採用される生徒もいます(全体の5.3%、就職者の11.3%)。大学進学でも指定校が多数あり、工業系の大学に進学しさらに専門的な学びを深めることもできます。
※写真は前橋工業高校・提供
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