ホーム

»

学校ニュース

»

障がい者の個性を就労に活かす新拠点 「チームとらねこ」開所から2ヶ月ー利用者が全国アート展に入選

学校ニュース

一覧はこちら

障がい者の個性を就労に活かす新拠点 「チームとらねこ」開所から2ヶ月ー利用者が全国アート展に入選

教育全般

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2025.06.02 
tags:あんしゃ 倉嶋 仁美, チームとらねこ 桐生, フリースクール あんしゃ, 就労継続支援B型, 桐生 フリースクール, 群馬 フリースクール, NPO法人 あめんぼ

 障がいのある人たちの個性や特技を生かし、就労に向けたスキル習得と社会参加を支援する事業所「チームとらねこ」(倉嶋 仁美理事長)が今年4月、桐生市境野町に開所してから2ヶ月が経った。現在、8人の利用者がアートやデザインを中心にプログラムに取り組んでいる。

 

 その活動に嬉しい報告が届いた。利用者の一人である「わだひびき」さんが、全国の障がい者芸術作品が集まる「Art to You! 障がい者芸術世界展 in SENDAI」に入選した。「1次審査通過ではあるが、群馬では5人選ばれた中の一人ということでとても嬉しい」と運営者の間にも笑顔が広がった。

 

⼊選作品「もち」わだひびき

精神障害、統合失調症急性期、幻覚幻聴がずっと聞こえている彼⼥が⼤好きな「モチ」を描きました、もう⼀⼈⾃分がいるような、幻聴から毎⽇悪⼝を⾔われながらも、その中で前向きに⽣きていけるよう、好きなものを絵の中に取り⼊れていくスタイルが彼⼥のアートです、闇の中に光を⾒ようとするその絵には⼼を打たれます。(同事業所のリリース文より)

「自分の特技を生きる力に変える」を合言葉に始まったこの事業所では、チラシ制作やパソコン操作、広報スキルなどの実践的な訓練が行われている。障がいの程度に応じた丁寧な支援が特徴で、利用者の多くが、開所から2ヶ月足らずで目に見える変化を見せている。

 たとえば、以前は外出に必ず付き添いが必要だったアーティストの野村倫太郎さんは、現在では一人で登所できるようになり、デジタルアートにも意欲的に取り組んでいる。家では洗濯物を自分で取り込むなど、家庭内での自立も進んでいるという。

 対人関係にも変化が見られた。言葉でのやりとりが難しい利用者が、施設内で仲間からDVDを受け取る際、感謝の気持ちを表現するようになった。こうした小さな一歩一歩が、社会で生きる力へとつながっている。

【写真】「チームとらねこ」での活動の様子(左)と生徒の作品(右)

 地域との交流も積極的に行われており、新里猟友会の協力を得て、フリースクール「あんしゃ」との合同交流会が実施された。そこでは、普段はあまり言葉を発さない20代の男性利用者が、子どもに目を合わせて話しかける姿が見られ、「スタッフはその様子に感動した」という。

 今後は、ウェブ出品用の撮影やデザイン業務、アートイベントへの出展など、外部との連携をさらに深め、実践の機会を増やしていく計画だ。

 運営側は「障がいのある方々が、保護者からの独立や社会的な自立を果たしていくための第一歩として、楽しさややりがいを実感できる場でありたい」と話す。「チームとらねこ」は、アートを通じて可能性を広げる、地域に根差した新しい支援のかたちを模索している。

(編集部)

広告

編集部より 記事は配信日時点での情報です。

ページトップへ