【学校探訪記】開校12年、ぐんま国際アカデミーの現在(1)
2005年、ぐんま国際アカデミー(GKA)の初等部が開校した。同校は2003年に、国の教育特区の受けて設立された。英語のイマージョン教育を指導の柱に据えた学校の登場は、開校当時、多くのメディアで取り上げられた。
あれから12年の歳月が流れた。太田市にある個性派の学校はどう進化したのか。GKA中高等部の「現在(いま)」を3回にわたって、レポートする。(編集部=峯岸武司)
あれから12年の歳月が流れた。太田市にある個性派の学校はどう進化したのか。GKA中高等部の「現在(いま)」を3回にわたって、レポートする。(編集部=峯岸武司)
■初の生え抜き組の卒業
ぐんま国際アカデミーの中高等部は太田市の内ケ島町にある。もともと松嶺短大のあった場所に中高等部が移転したのは2011年のことだ。近くはイオンもあり、市内でも比較的賑やかなエリアだが、一本筋を入ると閑静な住宅地が広がる。GKA中高等部はその一角に校舎を構える。
ぐんま国際アカデミーの中高等部は太田市の内ケ島町にある。もともと松嶺短大のあった場所に中高等部が移転したのは2011年のことだ。近くはイオンもあり、市内でも比較的賑やかなエリアだが、一本筋を入ると閑静な住宅地が広がる。GKA中高等部はその一角に校舎を構える。
初等部開校から12年。今年の中高等部の卒業生は初等部1年生からの生え抜き組にあたる。初等部で100人いた生徒は、中等部で約90人になり、高等部では約60人にまで減ったという。
「新しい学校ゆえ実績がないからという不安から、残念ながら他校へ移ったケースもありました。一方で、最後まで本校を信じて12年間お子様を預けてくださった方もいたということです」と副校長の横塚昌平先生は説明する。
実際、何人かの塾関係者に取材すると、「GKAの大学進学については未知数な部分が多かった」と口を揃える。カリキュラムそもそもが従来の枠組みとかけ離れていたからだ。
しかし、ふたを開けてみると、ここ数年、GKAは着実に進路実績でも結果を残してきた。とりわけ、今年度の最終的な進路実績には目を見張るものがあった。
東京大学1名、群馬大学医学部医学科2名をはじめ、早稲田大、慶応大などにも合格者を輩出した。慶応大4名は県内全高校で6番目の人数だ。青山学院6名は5番目の人数だ(浪人含む)。
東京大学1名、群馬大学医学部医学科2名をはじめ、早稲田大、慶応大などにも合格者を輩出した。慶応大4名は県内全高校で6番目の人数だ。青山学院6名は5番目の人数だ(浪人含む)。
ある塾関係者の話では「分母が少ない分、割合的には高く、これは立派な数字だ」と評価する。GKAの卒業生数が61名であるのに対し、他校は1学年300人を超える中での数字だ。この点では、GKAは「英語のイマージョン教育の学校」というだけでなく「進学校」としての顔を持っているといえる。
(参考)平成29年度 GKA進路実績
この実績を見ると、かなり熱心な受験指導を行っているのではないかと想像する向きも少なくないはずだ。
では、実際はどうか。
「もちろん、生徒の希望進路を実現するための様々なサポートは行っていますが、ハチマキを締めて受験勉強に立ち向かうような指導はしていません。大学進学を希望する生徒に対しては、学校で培った高い英語力や思考力に加えて、多様な経験を積んだ豊かな高校生活を最大限アピールできるような入試形態を選ぶ生徒が多いです」と横塚副校長は笑いながら話す。
大学受験は高校生活の自己実現の一つ。「高校生活=大学受験」にならないよう、学校側も受験以外にも高校生活を充実させる材料を子どもたちに与える。
「教師の仕事は、生徒の知的好奇心を喚起し『やろう!』と思わせること」と横塚副校長が話しているように、同校の生徒指導はあくまで子どもたちの自主性を尊重するというスタイルに徹している。
【写真】ある授業の様子
一方的なチョーク&トークの授業は行わず、どんどん子供たちから意見や考えを述べさせ、クリティカル・シンキングを身につけることにウェイトを置く。こうした授業方式も子どもたちの学びの姿勢に影響を与えているといえる。
GKA生はとにかく様々なことに対して、自発的・積極的に取り組む生徒が多いという。
(つづく)
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