鈴木孝明群大教授が母校で講演ー笠懸南中40周年記念式典で
5日、みどり市の笠懸南中(園田幸男校長)で、学校創立40周年記念式典が行われた。
計画段階では笠懸野文化ホールで実施される予定だったが、コロナ禍の影響を受け、同校体育館で規模を縮小しての実施となった。
密を避けるため、体育館では実行委員会、保護者、生徒の一部が対面で参加し、それ以外の生徒は教室で視聴する形での参加となった。
当日は記念イベントが行われ、同校の卒業生でもあり、群馬大学大学院理工学府教授の鈴木孝明氏による講演や横町太々神保存会の「猿田彦之舞」、同校吹奏楽部の演奏なども披露された。
鈴木教授による記念講演は「点と点をつなぐ~笠南中からつながる未来の探求~」と題して行われた。「大学教授」が今の高校生のなりたい職業で上位に入っていることを紹介。大学教授になるためにはどのようなキャリアを進めばよいか、また教授とは普段どんな仕事をしているのかをスライドを活用しながら、生徒や保護者に説明した。
パソコンやスマホの頭脳であるCPU(中央演算処理装置)が鈴木教授の研究分野。講演では、難しい専門分野の知識を中学生にも分かるように、様々なたとえを使って解説した。講演を聞いていた生徒や保護者は教授の講演を熱心に聞き入っていた。
講演会の様子(笠懸南中体育館で)
講演内容から(一部)
中学時代はテニス部に所属していました。弱かったのですが、自分は部長をしていました。その部長の仕事が嫌で嫌でたまりませんでした。何が嫌だったかと言いますと、部活のメンバーはそれぞれ考え方が違うから、その考え方をまとめるのが大変なんです。でも、この経験を通じて、どんなに一生懸命やっても解決できないこと、できないことがあることを学んだように思います。
(2つの小学校が合流するので)中学1年生の最初の学級委員がなかなか決まらなかったんです。その時、隣の女の子が「(あなたが)やればいいんじゃないか」と声をかけてきました。自分もさっさと終わらせたいので手を挙げたんです。そんな経緯でなった学級委員でしたが、意見をまとめるというのが、どういうことかを体験することができました。
正直言って、この時の経験がなかったら、大学教授になっていなかったのではないかとさえ思います。言った子は何気ない一言でいったのかもしれませんが、ちょっとした言葉で世界が変わることがあるんだということを感じました。
高校生の時にエンジニアになろうと思い、群大工学部に進学しました。
大学4年の時に、超電導の研究をしていましたが、他の子がうまくいく中で、自分の研究はなかなかうまくいかなかったんです。その時の指導教授のアドバイスもあり、最終的にはうまくいったのですが、この経験で、新しいものを生み出すことの面白さを知りました。このころから研究者になりたいと思い、京大の博士課程に進むことになりました。
さて、過去を振り返ると、いままで経験したことがつながっていることに気づきます。した「経験」がいつどこでどのようにつながっていくか分かりません。言えることは、今ある一つ一つの点(経験)を大切にあつかっていくということです。今あることに常に一生懸命取り組む姿勢が重要です。
今やっていることが、いずれ人生のどこかにつながっていくことを信じて頑張ることで、なりたい自分になれると思います。
鈴木孝明氏の略歴 ・1988年 笠懸東小学校 卒業 ・京都大学 助教などを経て、現在、群馬大学大学院理工学府 教授 |
(編集部=峯岸 武司)