まちの主役は私たち 小学生350人、社会を学ぶ 「ミニきりゅう」終了
桐生、みどり両市の小学生が仮想の「まち」をつくって運営する社会体験イベント「ミニきりゅう」が6、7の両日、桐生市立青年の家(仲町一丁目)で開かれた。2日間で延べ約350人の子どもたちが参加し、さまざまな仕事や買い物、納税などを疑似体験。自ら主体的に「まち」の一員として活動した子どもたちに、郷土愛や自治意識の種を植え付けた。
桐生青年会議所(JC、黒澤卓也理事長)の創立65周年と、桐生市制施行100周年を記念し、JCと同市が共催、みどり市が後援して初開催されたイベント。
両市の小学4~6年生40人の「こども会議」が4月から準備し、選挙で市長と副市長を選び、両市のシンボルである希少な花・カッコソウをモチーフにした市章(マーク)を制定し、市歌を作り、ルールや通貨「ミニル」を決め、どんな仕事が必要かを考え、看板なども手作りして当日に備えた。
■働いたり買ったり遊んだり、貯金も
当日は桐生警察署や桐生市消防本部、東京電力パワーグリッド社が本物のパトカーや消防車、高所作業車を並べ、桐生市発祥で「築地銀だこ」を展開するホットランド(東京)や、レストラン「アントラン」(桐生市)、学生が営むかき氷カフェ「彩(いろは)」(同)などがブースで協力。桐生信用金庫は専用の通帳、わたらせ渓谷鐵道は本物さながらの硬券の切符を提供し、イベントを盛り上げた。
「ミニわたらせ渓谷鐵道」の乗客も、手信号や保線などの仕事を担う鉄道員も子どもたち(青年の家で)
子どもたちは市役所や職安、税務署、病院、保育園、花屋さん、八百屋さん、パン屋さんなどのお店、タクシーや鉄道、猟師(射的)、漁協(魚釣りゲーム)、考古学者(化石発掘)など、計40種類のブースで働いたり買い物したり遊んだり。2日間で余ったミニルは貯金し、次回開催へつなげた。
こども市長を務めた大久保里胡さん(笠懸小6年)は、「ミニきりゅうが良くなるにはどうすればよいかをたくさん話してきて、成功できて本当に良かった」と、参加者と協力団体に感謝。「いろんな仕事を体験したことで、みんなの夢が目標になったらいい」と話した。
黒澤理事長は、次回以降は未定としつつ「今回中心となった子たちが次回は手伝いで関わるなど、経験を受け継いでいけたら、本当の意味で成功だと思う」と期待した。
■「自発性引き出した」 提唱者も「大成功」
全国で「こどものまち」を提唱している番匠一雅・田園調布学園大教授は「初回にしては大成功。大人が過度に口出しせず、子どもの自発性を引き出していた。黙々と何かを作るのが好きな子、接客やコミュニケーションが得意な子など、自分の個性に気付けるのも良いところ。このイベントを経験した子たちがやがて選挙権を持ち、リアルなまちの住民として地域を担っていくと期待している」と目を細めた。