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最近よく聞く「義務教育学校」ってどんな学校?

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最近よく聞く「義務教育学校」ってどんな学校?

教育全般

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2021.12.03 
tags:北の杜学園 太田, 義務教育学校 群馬, 義務教育学校とは, 黒保根学園, 黒保根小

群馬県初の義務教育学校になった北の杜学園(太田市)。写真は太田市教育委員会のホームページより。

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 最近よく耳にする「義務教育学校」ですが、実際どんな学校なのかよくわからない人も多いのではないでしょうか。

 簡単に説明すると、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う新たな学校のカタチで、2016年から制度化されました。では具体的にどのような特徴があり、制度化の背景には何があるのでしょうか。紹介していきます。

 

■義務教育学校とは
 「義務教育学校」は、小学校課程から中学校課程までの9年間の義務教育を一貫して行う学校です。一貫教育には、「小中一貫校」もあります。

 どちらも小学校と中学校の区切りを減らし、義務教育期間である9年間の学習をトータルで考えられる仕組みとなっています。異なる点は、義務教育学校は、一人の校長と一つの教職員組織からなっているのに対し、小中一貫校では小学校・中学校にそれぞれ校長や組織が立てられる点です。

 

来年4月に義務教育学校・桐生市立黒保根学園としてスタートする黒保根小(写真)

 義務教育学校では、一つの組織で義務教育9年間の学校教育目標を設定します。そのため、学年制を「6・3」ではなく、「5・4」や「4・3・2」という自由なまとまりで考えやすく、早い段階から先を見据えた学習が取り入れやすくなることが考えられます。
 また、教育課程を柔軟に変更することも可能ですし、教職員間の情報交換も活発に行えます。児童生徒の個性に応じた継続的な関わりが期待できる環境となっています。

 

■一貫した義務教育学校の必要性・メリット 

 現在の学校制度では、小学校から中学校に変わるときに通学距離や制服・友達の顔ぶれに加え、教員たちの考え方や授業内容も大きく変わることが多々あります。このような変化で勉強面や心理面に起こるギャップを「中1ギャップ」といいます。不登校やいじめ、成績不振につながる要因となっています。
 一貫教育では、小学校・中学校というはっきりとした区切り感をなくし、徐々に移行していくことができます。環境を変えることなく学ぶことで、「中1ギャップ」を解消することが期待できます。
 また、少子化などに伴う学校の社会性育成機能の強化の必要性もあげられます。地域コミュニティの衰退や三世帯同居の減少、共働き世代やひとり親家庭の増加など、さまざまな社会的背景により、家庭や地域における子どもたちの社会性育成機能が弱まっているとの指摘があります。こうした状況の中、小中一貫教育を進めることで、多様な異学年交流の活発化やより多くの教員が児童生徒に関わる体制の確保などを実現し、学校を社会性育成の場として機能させることへの期待が高まっています。

 

■懸念される点は?  

 小学校では5、6年生になると学校行事などにおいて重要な役割を担うことが多くなります。それは、リーダーシップや自主性が養われる機会となります。ただ、義務教育学校では、その機会が減る可能性があります。また、小学校の卒業式という区切りがなくなることで、成長を感じる機会が減少し、中学校への新鮮さが弱まるとの指摘もあります。
 9年間ずっと同じ顔触れ・雰囲気になりやすく、新たな変化へのきっかけが見つかりにくくなるかもしれません。人間関係が崩れてしまったときも、長く同じ環境に身を置かなければいけないという怖さもあります。
 義務教育学校や小中一貫校は、少子化に伴う学校の統廃合も進んでいることから、今後さらに増えていくことが予想されます。

(編集部=臼井晃斗)

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