【独自】「おおたIT学校」をバージョンアップー「おおたプログラミング学校」構想について清水市長に聞く
1月4日、太田市の市民会館で開かれた「新春の集い」で、清水聖義太田市長は市内に小学生を対象にした「おおたプログラミング学校」をつくる構想を明らかにした。その概要とねらいについて、太田市長に話を聞いた。
■市長の思いで生まれた4つの教育機関
清水市長は公教育とは別に市で英語・スポーツ・芸術・ITの4つの教育機関を立ち上げてきた。その4つとは「ぐんま国際アカデミー」、「おおたスポーツ学校」、「おおた芸術学校」、「おおたIT学校」だ。
「国際アカデミー」は現在、学校法人として運営され、「スポーツ学校」「芸術学校」は教育委員会ではなく市長部局で運営されている。
教育委員会に委ねずに運営しているのは「学校教育に負荷をかけずに、子どもたちに専門性のある技能や知識を身につけさせたい」という市長の思いからだ。
その一角にあたる「おおたIT学校」の歴史も古く、2006(平成18)年度から現在の形態で運営されている。これまでに延べ1200人の子供たちが巣立った。
(写真はイメージです)
■従来の「おおたIT学校」と「おおたプログラミング学校」はどう違うのか?
「おおたIT学校」については、昨年は6月~10月の期間中、全14回(火曜クラス・木曜クラス 時間はいずれも19時~20時30分)の講座を開いた。
受講生はタイピングの練習やパワーポイントなどを活用したオリジナル新聞の作成など、パソコンを使って実用的で幅広い知識を学んだり、スクラッチ(入門者向けの教育プログラミング言語)を活用してプログラミングを学んだりした。
「昨年は新型コロナウイルス感染症対策のため、例年より定員を減らし48名(各クラス24名)の児童を募集したが、非常に人気のある講座で、定員の2.3倍にあたる110名の応募があった」と清水市長は説明する。ただ、他の3つの「学校」と違って講座制のため継続性がないというのが課題だった。
今年4月にスタートする「プログラミング学校」はこの「IT学校」の後続という位置づけだが、一番の違いは継続性を持たせる点だ。単なる名称変更ではなく、スクールとしての「機能」をバージョンアップさせる。「開講」から「開校」へと捉えると分かりやすいかもしれない。
従来は市内の小学5・6年生を対象としていたが、小学3年生まで引き下げ、意欲のある児童が継続的にプログラミングを学べる環境を整備する。プログラミングの上級者として、自らプログラミングを組み立てて何かを作ったりできるレベルまで育成していこうというのがねらいだ。さしあたり対象は小学生だが、「eスポーツも絡めて中学生での継続もできればと考えている」と市長は話す。
募集の仕方も変わる。「IT学校」では抽選制だったが、「プログラミング学校」は提出された志願書をもとに、意欲のある子どもたちに参加してもらう予定だ。
「これ(プログラミング学校)をやることで(その分野で)レベルの高いことを目指す子供がでてくるきっかけづくりになればいいと思っている」と清水市長。
現状の「IT学校」は専門の講師を外部から招き、1人の講師と4人のアシスタントの計5人体制で24名の児童をきめ細かくフォローしてきた。「プログラミング学校」に改編後の指導体制は現時点では未定としているが、さらに専門性を高める方向で調整中とのことだ。
場所については当面は市役所内の情報センターのセミナールームを拠点とするが、「いずれは外に出す予定だ」(市長)と独自の校舎(施設)を設置する考えを示した。
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清水市長はこの「プログラミング学校」構想以外にも現在約200名いる太田市内の不登校の小中学生を対象にした「フリースクール」の立ち上げについても表明している。このフリースクールは民間とタイアップした形で運営される予定だ。
「太田で子どもたちに対してこれ以上ないという環境をつくる」。
「新春の集い」の場で市長は教育行政への思いをこう語った。
2022年春、その「これ以上ない環境」を具現化した形で、「おおたプログラミング学校」と「フリースクール」が動き出す。
(編集部=峯岸武司)