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【インタビュー】新たな学びの場は列車の学校 オルタナティブスクール「アンシャ」代表 倉嶋仁美さん(39)

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【インタビュー】新たな学びの場は列車の学校 オルタナティブスクール「アンシャ」代表 倉嶋仁美さん(39)

教育全般

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2022.01.29 
tags:アンシャ, オルタナティブスクール, 桐生市

 2021年4月に、わたらせ渓谷鐵道のお座敷列車を校舎にしたオルタナティブスクール「アンシャ」(桐生市新里町鶴ケ谷)がプレ開校した。代表の倉嶋仁美さんは、伊勢崎市の公立小学校で非常勤講師として働きながら「子ども一人ひとりに合った学びの選択肢が必要」と考えスクール設立に至った。4月の本開校を前に、倉嶋さんが考える学びの形や教育で大切にしていること、今後の展望について話を聞いた。

 

 倉嶋仁美さんは1982年、長崎市生まれ。東京女子体育大学を卒業後、都内でスポーツジムやヨガのインストラクターとして働く。2014年に夫の地元・伊勢崎市に移住し、21年3月まで同市内公立小学校で非常勤講師として勤務してきた。同年4月に「アンシャ」をプレ開校した。

子ども一人ひとりの存在認める場に

 

 ―アンシャ開校のきっかけは。
 倉嶋 公立小学校の非常勤講師として算数などの科目を教えてきました。働く中で、「もっとこういう形で学ばせてあげられれば」という思いが徐々に募りました。学校だと座学の時間が少し長いですよね。もっと遊びながら、楽しみながら勉強できるんじゃないかと考えたんです。そして、既存の学校に合う子もいれば合わない子もいる。学校になじめない子どもたちの姿も目にしてきました。オルタナティブスクールを小さくてもいいから開きたいと思っていました。思いはありながら時間だけが過ぎていったのですが、息子が小学6年生の時にコロナ禍での休校をきっかけに不登校になりました。それで「私も動こう」と思い、アンシャの設立につながりました。学校に居場所がなくても、ここに来れば存在を認めてくれる人たちがいる。家族以外からも大切に思われているということを伝えられる場所にしていきたいですね。

 

 ―列車を校舎として活用した理由は。
 倉嶋 最初は伊勢崎でスクールの場所を探していましたが、なかなか理想とする建物が見つかりませんでした。職場の同僚に相談をしてみたところ、教えてもらったのがこの場所でした。所有している方にお話ししたら、すぐに快諾していただきました。本当に不思議な話ですが、子どもの頃に読んだ本「窓際のトットちゃん」に出てくる電車の学校に憧れていたんです。こんな学校だったら本当に楽しいだろうなと、強く思っていました。そんなことは忘れて大人になり、普通に生活していましたが、この場所を貸していただけるという話になったときに、その時の思いが一気によみがえりました。子どもの時の夢がかなった思いです。もともとは教員になろうとも思っていなかったので、本当に不思議な感じです。

 

 ―学習で大切にしていることは。
 倉嶋 校名の「アンシャ」はフランス語で「猫」を表します。自由気ままで自分らしく生きる猫のように、自由に学び自分の好きなことを仕事にできるような子どもたちを育てたいと思っています。ただ、自由をはき違えてはいけないと考えています。自分の言動に責任を持てる人に育てていきたいですね。その一歩が「片付け・掃除」だと思っています。自分の荷物の管理を含め、身の回りの掃除など、基本的なことをコツコツ重ねることによって責任感が育つと考えています。もう一つ大切にしていることが「対話力」です。対話の時間という授業があるのですが、一つのテーマに沿って生徒全員で話し合いをします。正解、不正解ではなく自分の考えをしっかり持ち、それを相手に伝える力を育て自立につなげたいと考えています。自分の考えを言うことは勇気がいりますが、大人になったときに必要とされる力だと考えています。

 

 ―今後については。
 倉嶋 今通っている小学6年生の子がこの春に小学校を卒業するので、それに向けた企画に挑戦しようと考えています。鉄道と写真が好きな子なので、この校舎を使った「鉄道写真展」を計画しています。企画から告知、チラシ制作まですべて子どもが主体で行います。このようなことを経験させ、こういう大人になりたいというものを子どもたちに持たせ、そこに近づけるお手伝いをしていきたいと考えています。

 


 

 

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