【知事取材を終えて】既存の発想を超えた高校再編の視点(2)
| 中等教育学校への”鞍替え”による再編
前稿でも触れたが、「中等教育学校を群馬県も増設すべきではないか」というのが今回の提言の柱の一つである。
6年間を一貫して学べる中等教育学校という形態は、群馬県の掲げる「始動人」の理念と親和性がある。一方で、学校数がまだ少ないため、遠方から通学したい生徒は長時間通学を余儀なくされる。
そこで高校の再編計画の中に「中等教育学校の新設」を盛り込み、既存の高校を中等教育学校に「鞍替え」するのはどうだろう。とりわけ男女別学の高校を中長期的に「共学化」していくのであれば、単純に統合する「桐高モデル」ではなく、片方を「共学校(高校)」、もう片方を「中等教育学校」という形にする手法の方が子どもたちにとって学校選択の幅は広がる。既存の学校であれば、校舎などの新設も必要なく、予算を抑えた開校も実現可能だ。
現在、県内には男女別学の公立高校が12校ある(下表参照)。
このうち、すでに沼田高校と沼田女子高校の統合は決まっている。地理的な面を重ね合わせると、渋川地区、館林地区に中等教育学校が1校ずつ設置されてもいいのではないかと思われる。
男子校 |
女子校 |
前橋高校 |
前橋女子高校 |
高崎高校 |
高崎女子高校 |
太田高校 |
太田女子高校 |
渋川高校 |
渋川女子高校 |
館林高校 |
館林女子高校 |
沼田高校 |
沼田女子高校 |
たとえばの話であるが、渋川高校を共学の高校に、渋川女子高校を中等教育学校にするといった形で再編する。北毛地域に中等教育学校が1校できれば地域教育の活性化にも繋(つな)がるだろう。北毛地域は過疎化が進み、地域課題をかかえた自治体が少なくない。地域課題の解決という側面からも、学べる材料が身近にある。
館林地区は県の東端に位置し、学校の選択肢が狭いのが現状だ。そのため、隣接する栃木県や埼玉県への流出も少なくない。こちらも館林高校を共学の高校に、館林女子高校を中等教育学校に再編するのはどうだろうか。現状、館林の子どもたちが県内の公立中高一貫校に通うとすると、通学にかなりの負荷がかかる。こうした問題の解消にもつながるはずだ。
残された前橋・高崎・太田については別の方向からの再編を提言したい。これについては次稿で触れる。
〈つづく〉
(みんなの学校新聞 編集長 峯岸武司)