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【塾長のショートコラム(6)】「桐高」の(は)本気!?(後編)

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【塾長のショートコラム(6)】「桐高」の(は)本気!?(後編)

オピニオン

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2023.06.02 
tags:桐生進学教室, 桐生高校, 群馬県 高校入試 一本化, 群馬県教育委員会

前編からのつづき>

 さて、ここから本題の「桐高の本気!」について述べます。

 まずは桐高・『普通科』についてです。普通科は前述したように、まずは「総合型選抜」で定員の75%を合格させます。そして各教科の配点も、高校入試での実力の格差が表れやすい国語・数学・英語の三教科がそれぞれ150点満点(×1.5)で理科と社会がそれぞれ100点満点の、合計650点。これに面接の40点と調査書の81点を加えて総合771点満点で判定を受けます。つまり771点中の650点が「学力試験」の得点になり、これは全配点中の84%に相当します。

 この84%という数値は県内の“トップ校”の中では前高81%・太高81%・高高78%を抜いて単独の「1位」です。つまりこの数字から判断すると「学力」を一番重んじている入試は『桐生高校普通科』の「総合型選抜」ということになります。ここに桐高の本気度が窺(うかが)えます。

 次に桐高・『理数科』ですが、ここの「特色型選抜①」には“県内唯一”の傾斜配点が導入されています。学力試験の数学と理科の配点がそれぞれ300点になっているのです。これまでの入試と今回の「特色型選抜②」では数学と理科が200点(×2)なのに対して2倍どころか3倍にまでなっています。ここに桐高『理数科』らしい「特色」がよく表れています。

 上記の2項目については、説明担当の先生も特に力を入れて説明をしてくださったところです。「桐高の本気をぜひ塾の生徒さんたちに伝えてください。」と。

 

 学力重視指数を算出すると

 つづいて本題のサブタイトルの「桐高は本気?」について述べて行きます。

確かに桐高・普通科の「総合型選抜」の<学力試験比率>は84%で県内最高値ですが、その<人数>は定員の75%です。ここでこの2つの数値を掛け算した値を出して他の“トップ校”と「総合型選抜」の数値を比較してみます。これを今回は勝手に「学力重視指数(仮)」と呼ばせていただきます。

 

    学力重視指数の上位校(定員×学力比率で算出)

              (桐高理数科は特色型選抜①②の残りの50%)

 

 残念ながら桐高普通科は3位になってしまいました。もし「総合型選抜」の定員を80%にしていたら80×84=6720で県内のトップになっていたのに、私としてはとても残念に思います。ぜひ来年度は80%いや90%にして欲しいものです。この比率は最大で90%までは各高校の独自の判断で設定できるわけですから。(県教委の「別紙」の最後にちゃんと書かれていますよ。小さい文字ですけどね。)

 

 つぎに「特色型選抜①・②」に話題を移します。前回のコラムでも提示しましたが、桐高『普通科』の「特色型選抜②」の調査書が1000点満点のアレについてです。(面接は166点満点で学力試験は500点満点です。)

 なお桐高『普通科』の「特色型選抜①」では学力試験は650点満点で面接が72点で調査書が720点です。これらを上記のような計算式に当てはめて「学力重視指数(仮)」の数値に換算するとこうなります。

               

 

 これらをまとめると、このように考える(理解する)ことができます。

 <桐高の本気>とは、『普通科』は<学力による大学進学>を目指す中学生に対するアピールであり、『理数科』や『普通科の特色型選抜』は<推薦入試>を目指す中学生に対するアピールなのであろう、と。 

 

 面接と調査書の合計数値で比べてみる

 それにしても群馬県の公立高校の入試は「面接」と「調査書」の比率が高い学校が多いのが目に付きます。それは「進学校」の入試においても同じです。最近のSNSなどのメディアでは“自称進”というコトバがよく出てきます。かつての伝統校で現在では難関・有名大学への合格実績をほとんど出せなくなってしまった「自称進学校」の略です。

 前回は高崎女子高校の数値を一例として示しましたが、県内の“トップ校”での選抜方法を「面接+調査書」の合計数値が高い順に示してみます。 

学力重視指数={(B)/((B)+(C)+(D))}×100×(A) で算出した。

※前女と太高は「特色型選抜」は①しかありませんので①も②も付けませんでした。

 

 上記の「学力重視指数(仮)」の数値のときの1位と2位の前高・太高が今回は下位の12・13・14位というのは、群馬県内の“トップ校”の中で真の『進学校』と呼べるのはこの2校だけなのではないかと思ってしまいます。

 

 なお、「面接+調査書」の数値が大きいのは、「主力部活動要員」のためであることは説明会で明言されていました。これを「特色型」と呼ぶのであれば、やはりこれまでの(コラムでの)私の主張は正しかったことが証明されたと言えます。そこまでして「運動の実績」も作りたいみたいですね、“伝統校”は。

 そして、今後の「情報公開」としては是非とも「調査書の内訳の点数配分」を教えて欲しいものです。いや、公(おおやけ)としては公開する義務があると強く主張します。

 さらに、説明会で他の塾長先生が質問したのに答えてはいただけなかった事項があります。私は知らなかったのですが、どうも各高校には「優先入学部活動」というものがあるのだそうです。たとえばそこに「調査書1000点満点」の内の何点が割り振られているのか、その基準は何なのか、入試の公平性を保つためには「情報公開」は絶対に必要なことだと考えます。なにしろ『合格』の裏側には「不合格」で涙を流す15歳の子供がいることを、大人たちは決して忘れてはいけないからです。その涙は納得するための涙で、そして、それは大人になるための糧とならなければいけないものです。

 「体育会系はなあなあで良い」という考えは通用しません。「秘密主義」は「絶対主義」であり、『反民主主義』や『全体主義』に通じます。

 

 選抜方式における私見

 ところで皆さん(親御さん)は、(お子さんが通う)『進学校』の1クラスのうちの4人に1人または5人に1人つまり40人中の10人か8人が「総合型選抜」=「学力重視試験」ではなく「特色型選抜」=「部活動要員または部活動優先」で入学してきたクラスメイトがいることをどのように思われますか。

 <文武両道でカッコいい・尊敬する> <彼らは彼らウチはウチ・割り切って頑張る> <それはチョット・な> <・・・> 

 公立高校は2年生以降の「文理選択」でのクラス分けはありますが、1年生のうちは「能力別クラス」という分類はありません。そして中学生から高校生へと環境も意識も大きな変化を起こす1年生こそがその後の高校での勉強と成績を大きく決定付ける大事な学年であることを、しっかり心に留めなければなりません。

 

 最後に、群馬県の公立高校の国語や数学や英語それに理科の点数を何倍にしようとも、この試験問題のレベルで何点取ろうとも、高校入学後の「高校数学」や「物理」「化学」の理解や得点には直接には結びつかないことを、自称『進学塾』の塾長としてハッキリと言わせていただきます。やはり「難関国立私立高校」の入試問題でしっかり得点できるような実力を身に着けてそれを発揮できるようにしておかないと、とてもではありませんが<難関・有名大学への進学>を語ることはできません。

 日々の塾での指導にも危機感と緊張感を持って臨んでいます。

                  (おわり)

プロフィール

丹羽塾長

<現職>

桐生進学教室 塾長

 

<経歴>

群馬県立桐生高等学校 卒業

早稲田大学第一文学部 卒業

全国フランチャイズ学習塾 講師

都内家庭教師派遣センター 講師

首都圏個人経営総合学習塾 講師

首都圏個人経営総合学習塾 主任

首都圏大手進学塾    学年主任

都内個人経営総合学習塾 専任講師

 

 

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