「気付いて、関わって」 ヤングケアラー、支援機関が理解深める─群馬・桐生市が研修会
家族の世話や介護を日常的に担っている子どもたち、いわゆる「ヤングケアラー」の支援のあり方を学ぼうと、桐生市は24日、同市市民文化会館(美喜仁桐生文化会館)スカイホールで研修会を開いた。講師を務めたヤングケアラー支援ネットぐんまの相崎ゆ美さんは、支援機関の関係者ら約70人の参加者に、「子どもの背後にある環境に気付いて、関わってほしい」と訴えた。
ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定される家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものこと。子どもらしい生活が送れない、学校生活に集中できないなどの課題があり、社会問題化している。
研修会は、子どもの支援機関でつくる同市要保護児童対策地域協議会の構成団体職員らを対象に同市が実施。社会福祉士でスクールソーシャルワーカーの相崎さんが「私たちの地域でできること」と題して講演した。
相崎さんは、遅刻の多さが目立っていた中学生が実は、小学生時代から家の片付けや掃除を全部やっていたという事例を紹介。両親とも片付けができない人で、子ども自身もつらいとは感じていないようだったという。
相崎さんは「遅刻や居眠りなどの現象にとらわれるのではなく、その背後にある現象を想像することが大切。子どもに頼らざるを得ない家庭環境などの背景がある。誰が悪いという問題ではない」と説明した。
その上で「ヤングケアラーに興味を持ってもらい、実態を知り気付く視点を持ってもらう。そして関わること。気に掛けている大人がいるというメッセージを送ることも含め、関わることが重要」と訴えた。
さらに「ヤングケアラーだけが特別ではない」とも。「地域で子どもたちと関わる中で、ヤングケアラーの子がいたら支援する立場。子どもだけでなく、自分とは違う他者の状況に想像力を働かせたり、異なる立場や考えを持つ人にも配慮したりし、尊重し合える社会であってほしい」と語った。
問い合わせはJR桐生駅北口の市保健福祉会館1階の市子育て相談課(電43・2000、メールkosodatesodan@city.kiryu.lg.jp)へ。
写真=民生委員をはじめ子ども支援機関の関係者ら約70人が参加した
(桐生タイムス)