【学科研究】総合学科ってどんな学科?◆前橋東高校を事例に
高校にはさまざまな学科が存在します。「学科研究シリーズ」はタブロイド判「みんなの学校新聞」(24年7月上旬発行予定)と連動して、さまざまな学びのスタイルを解説していきます。今回は数ある学科の中の一つ、「総合学科」について、県立前橋東高校・進路指導主事の長井和司先生にお話を伺いました。
総合学科のスクールミッション
◆「産業社会と人間」を核とした教育課程を通して、 社会とのつながりを意識しながら、自己の生き方・ 在り方について考え、自分の可能性や目標を発見できる高校
◆幅広い選択科目の中から、生徒一人一人が学習内 容を選択することを通して、将来の職業選択を視野に、個性を生かした主体的な学習ができる高校
群馬県内に総合学科の学校は6校(渋川青翠・伊勢崎興陽・新田暁・前橋東・安中総合・吉井)あります。
総合学科は単位制高校の1形態で、職業系・普通科系・芸術系・体育系などの内容を幅広く取りそろえ、その中から生徒が自分の進路に合ったものを自由に組み合わせて選択できる学科です。入学後に自分の適性にあわせてカリキュラムを設定できるのが総合学科の利点といえるでしょう。
総合学科も大きく分けて、専門学科にウェイトが置かれた学校と進学にウェイトを置いた学校があります。前橋東高校は進学型総合学科という形態です。
普通科との大きな違いは学校設定科目が豊富にあり、より効率よく進学条件に適した時間割を組むことができます。また、結果的に少人数のクラスや到達度別にクラスを組むことができます。本校の場合、2~3学年になると3分の2くらいが学校設定科目の選択になります。
【図1】学校設定科目による選択イメージ
総合学科では学校設定科目で教科を派生させたり(たとえば、教科AをA-1、A-2…のように教科を派生させられる)、習熟度別にわけてクラスを編成(通常のクラスを図のように習熟度別などの基準で分け直して編成)できます。
【図2】一般的な普通科のクラスのイメージ
教科Aという授業は通常のクラスの中で行われる。
1年次に「産業社会と人間」という授業があるのも総合学科の特色です。これは自らの進路実現を果たすため、2,3年になったときにどういう学校設定科目をとるか、自分の将来や適性を見据えながら考える目的で実施されています。適性検査をしたり、キャリアについて学んだりする中で、将来の自分の進路を真剣に考えるきっかけにもなるし、どういう科目を選択すればよいかがより明確になります。
まだ将来があいまいな生徒に対し、より良い将来を考えさせ、実現するため、入学後に自分の適性にあわせてカリキュラムを設定できるのが総合学科の利点といえるでしょう。
前橋東高校の場合は卒業生の9割が4年制大学に進学します。