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どうなる小中学校再編・待ったなしの学校統合 枠組み論議は9月以降ー桐生市教委

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どうなる小中学校再編・待ったなしの学校統合 枠組み論議は9月以降ー桐生市教委

教育全般

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2024.07.23 
tags:小中学校 規模適正化, 桐生市 市学校規模等適正化中学校区検討委員会, 桐生市教育委員会

 少子化に備えた桐生市立小中学校の再編を検討するため、同市教育委員会が市内9中学校区ごとに設置した「市学校規模等適正化中学校区検討委員会」。5月下旬~7月上旬の第2回会合で、各中学校区の小中学校PTA役員や自治会長らが方向性を協議した。各中学校区とも急激な少子化に危機感を募らせ、市全体では学校統合が待ったなしの状況であることを確認。一方、枠組みを含めた〝各論〟の協議は緒に就いたばかりで、次回会合を予定する9月以降に本格化する見通しだ。

 

 市教委が検討委に示した資料に、市立小中学校(小中一貫校の黒保根学園除く)の児童生徒数が今後25年間(2023~48年)でどれほど減るかを示した推計がある。
 23~33年度の10年間で、児童生徒数が半分以下に減ると見込まれるのが小学校16校のうち8校。23~43年度の20年間では小学校11校、中学校でも9校中6校が半分以下に減少する見込みという。
 児童生徒数に合わせて学級数も減少。小学校では、今年度クラス替えができない単学級(1学年1学級)があるのは9校で、うち5校は全学年単学級。推計では今後10年以内に12校が全学年単学級化、20年以内に7校が複式学級化する見通しだ。
 中学校では、単学級があるのは今年度9校中1校にとどまっているものの、推計では今後10年以内に4校に増加。20年以内に5校が全学年単学級化し、うち1校が38年度に複式学級化する計算になる。



 こうした現状と見通しを踏まえ、第2回検討委ではいずれの中学校区でも、「市全体で学校統合を早急に検討すべき時期に来ている」とのスタンスを委員間で共有した。
 とはいえ、個々の小中学校を今後どうするかという〝各論〟になると、中学校区ごとに意見ははさまざま。いずれの中学校区も、結論は第3回会合以降の協議に持ち越した。
 市教委が提示した選択肢は▽中学校区内の小学校統合▽中学校区を越えた小中学校統合▽現状維持▽中学校区内の小中一貫校化▽中学校区を越えた統合による小中一貫校化─のおおむね5つだ。
 市教委は各中学校区検討委に対し、「小学校入学後に統合を経験した子が、中学校卒業までに再び統合を経験しないよう、令和20(2038)年以降を見据えて検討してほしい」と要望したうえで、来年3月末を目安に一定の報告を出すよう求めている。



 実際に各中学校区検討委で協議された内容を見てみよう。
 第2回検討委で、最も協議が進んだのは新里中学校区。みどり市を挟んで旧桐生市内の中学校区と隣接していないことなどから、中学校は「現状維持」とし、小学校は「中学校区内で統合」の方向でまとまった。具体的な統合枠組みは次回会合で協議する。
 次いで協議が進んだのは中央中学校区。少子化が進む市全体を見据え、中学校区を越えた小中学校統合を求める声が相次ぎ、複数の中学校区検討委でつくる「地域協議会」の設置を要請する方向で一致した。次回会合では、どの中学校区に設置を要請するかを話し合う。
 清流中学校区も、複数の中学校区での小中学校統合が必要との方向でおおむね議論が進んだが、他中学校区への地域協議会設置要請をするかどうかの意見集約は次回会合に持ち越した。
 残る梅田、広沢、境野、桜木、相生、川内の6中学校区では、委員からさまざまな意見が出たが、一定の方向性を出すまでには至らず、次回会合で引き続き協議する。
 特に児童生徒の減少率が高い梅田、川内の両中学校区では、多くの委員が危機感を強調。梅田では5年後に見込まれる梅田南小の複式学級化回避を望む意見が出た。川内では他中学校区との統合協議を望む声がある一方、地域に学校を残そうと小中一貫校化を望む声も出ている。



 「市教委に(学校再編の)腹案があるなら示してほしい」。梅田や広沢、境野、川内など複数の中学校区検討委で、一部委員から市教委主導の学校再編を求める声が上がった。
 これに対し、市教委は「前回の平成の適正配置(学校統合)時、市教委から学校の具体的な組み合わせを示したが、地域の声を聞かずに決めたと受け取られて大変な思いをしたと聞く」と説明。そのうえで「現段階では市が組み合わせ案を出すのではなく、まずは地域の考えを大事に進めたい」と答えている。
 来年3月末を目安に一定の方向性を出すように求められている各中学校区検討委。「中学校区内の小学校統合」「中学校区内の小中一貫校化」を選んだ場合、中学校区内で完結する道へと進んでいく。
 一方で、「中学校区を越えた小学校統合」「中学校区を越えた統合による小中一貫校化」を選んだ場合、複数の中学校区検討委で構成する「地域協議会」を新設し、より大きな枠組みを目指すことになる。
 それぞれの中学校区検討委が、どちらの方向に舵を切るのか。さらに地域協議会を新設する場合、どのような枠組みを選ぶのか。
 次回検討委は9月下旬~11月中旬に開催予定。来年1~2月に予定される第4回検討委を含め、〝令和の小中学校再編〟の行方を見極めるためにも、各検討委の協議内容に目を凝らしておく必要がある。

 

【メモ】

▽桐生市学校規模等適正化中学校区検討委員会=市教委が1~2月、小中一貫校の黒保根学園を除く市立9中学校区に設置。市立小中学校のPTA役員や校長、自治会長や青少年団体役員らが委員を務める。市教委は各検討委に対し、中学校区を越えて小中学校再編を進めるか否か、来年3月末を目安に一定の方向性を出すよう求めている。

 


桐生タイムス

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