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【塾の先生コラム】「強力なプロパガンダ」と『控えめな真実』(桐生進学教室)

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【塾の先生コラム】「強力なプロパガンダ」と『控えめな真実』(桐生進学教室)

オピニオン

みんなの学校新聞編集局 
投稿日:2022.07.25 
tags:塾 個人情報, 塾 広告, 塾 広告 個人情報, 塾の先生コラム, 桐生進学教室, 業者テスト

控えめな真実 その1

 新聞紙の本体と同じ大きさの「巨大広告」で有名なその塾は、表現も「完璧」「満点」「完全攻略」などと、保護者や小中学生にとってはとても強力で魅力的な表現を使用しています。

 2002年の6月の広告では以下のような文言が書かれていました。

 ところで高校1年生になるとすぐに数学で『命題』という単元を学習するのですが、その『命題』では<反例>(ハンレイ)が1つでもあるとその命題は『偽』(ギ)=『正しくはない』と判断されます。ちなみに「正しい」ときには『真』(シン)と判断します。

 この広告の出たこの年のこの学期の期末テストにおいて、ある中学のある学年の1位はウチの塾生でしたので、この塾のこの広告に関しての『命題』すなわち、全中学・全学年の1番を独占するという「期末1番宣言」は論理的には『偽』と判断されます。

 

控えめな真実 その2

 2003年の7月の広告では以下のような文言が書かれていました。

 この広告が出た頃、奇遇にもこの生徒本人がウチへの入塾の相談に来ました。この生徒の入塾は、当初は断るつもりでいました。なにしろ▼▼塾の広告塔なので、どんなに成績が良い子だとしても心情的には受け入れ難かったからです。

 でも、話を聞くと真実はまったく違うことが判明しました。

 この子は小学6年生の時に▼▼塾にちょっと通ってはみたもののすぐに「意味がない」と判断して退塾を申し出たそうです。しかし▼▼塾の担当者から「お金は払わなくてもよいし塾に通って来なくてもよいから退塾だけはしないで欲しい」と言われ、本人はイヤだったが担当者のあまりの熱心さ(しつこさ?)に押されて母親がそれを認めてしまったとのことでした。

 その後、中学生になり中間・期末テストが終わるたびに▼▼塾の担当者から電話が掛かってきて、やはりやむなく母親が点数と順位を教えてしまっていたそうです。

 つまり、この『500点満点で1位の生徒』は「書類上だけの塾生」または「実体の無い塾生」=「ユウレイ塾生」だったわけです。

 もちろん、ウチへの入塾に当たってはその辺のケジメはちゃんとつけていただきました。なお仮にこの子を「A君」とすれば、この文章の内容はA君から直接聞いた話なので“証拠=エビデンス有り”となります。

 

控えめな真実 その3

 2010年1月では、日本刀を2本両手に持って大きく口を開けた強面(コワモテ)の“塾長”の写真が載っていました(“会長”の日本刀は片手に1本だけでした)が、本来はイケメンの先生なので、そのギャップに違和感を覚えざるを得ませんでした。しかし、その出で立ちと重厚な「決意表明文」からは並々ならぬ決意を感じ取ることができました。

 

 翌週の広告でも翌々週の広告でも、表現を変えてその決意を明らかにしていました。

 『命をかけて』? 『必ず』? 『全員の』? 『全ての』?

 <よくぞココまで言い切った!> <そのコトバを信じよう!> と、私は心密かに応援をしていました。男子たるもの、ましてや武士の一言には一点の曇りも無く必ずや『有言』は『実行』されるものと信じて疑わなかったからです。

 しかし、この年からも何人もの生徒と保護者が私の塾の門を叩いて来ました。

「あの塾では成績が上がらなかった。」「親の期待した受験結果にはならなかった。」というのが主な理由でした。残念ながら『有言実行』だったワケです。

 この「宣言」の載った広告は手許にあり、生徒と保護者もウチの塾に移って来て、直に話を聞いたので、この一件も“証拠=エビデンス有り”です。

 

 そうこうしているうちに、このイケメン塾長は私の視界から消えて行きました。

久しぶりに思い出してみて、<まさか、あの日本刀で? 切腹?!>と少し心配をしながら、先日この塾とこの先生の名前を入力して検索をかけたら、別の営業所で<しっかり・ちゃんと・ちゃっかり・のうのうと>生きていました。ほっとしたのと同時に、心のどこかで「男なら、武士ならば、おめおめと生き恥を晒し続けずに潔くソレを実行しろ!」と叫んでいました。(良い子は絶対にマネをしてはいけませんよ。二重の意味で。)

 でも、当の本人はおそらく何も考えてはいないのでしょうね。私には「彼の正義」を理解することができません。

 そして「この塾」も多くの生徒と保護者が支持し満足し、幸せになっているようですので、そのことについて私は何も文句を言うつもりもありません。

 

控えめな真実 その4

 2017年の12月の広告では公立中学校名と本人の実名と顔写真(ピースサイン)入りで以下のような内容が載っていました。

 この広告が出ると早速、この子の中学でこのことが話題になりましたが、本人は「本当は違うんだけどな・・・」とつぶやいて何か含みがあるような表現をしたそうです。そこで様々なウワサが飛び交いました。この子のおじいちゃん(とてもお偉い方だそうです)が手を回して試験問題と模範解答を入手した、とか、試験会場が塾の教室内だったので○ン○ン○をした、とか、広告に出演したお礼に高級松坂牛2㎏を貰った、などという話まで出ていました。

 

 翌年の春、この子が第一志望校のM高校に入学すると同級生から早々に詰め寄られ、そしてついに“カミングアウト”したそうです。その“攻略方法”も。(そういえば広告のこの子の顔写真は、どことなく憂いを漂わせているし、あまり嬉しそうには見えません。) この子を「B君」とするならば、この話の内容はB君から直接聞いた話ではないにしても、B君から直接聞いたというC君・Ⅾ君・Eさんからの証言を基にしていますので“エビデンス有り”ということになります。

 

 そしてB君はM高校に入学してからと有名私立大学に入学した後は同じ種目の運動部の主力メンバーとして活躍しています。SNSというものはとても便利で恐ろしいものです。個人情報がいたるところに溢れていて、個人名を入力して検索するといとも簡単に様々な情報を入手(Get!)できてしまいます。

 

控えめな真実 その5

 ちなみにこの塾の“統一テスト1番宣言”は後にも先にもこの一回だけでした。この塾のこれまでの広告作成手法から判断すれば、「統一テスト1位」が出ればこの時と同じように大々的にアピールしていたハズです。それが無かったということは、つまるところこのB君以外で『統一テスト1位』を取った生徒は他にはいなかった、ということになります。

 現在までにいったいどれだけ多くの「統一テスト」が行われたか、またこの塾の生徒数がこれまでの延べ人数でいかに多いかを考えるとき、この塾の勉強で「▼▼塾で群馬県№1へ」上り詰めることや「県内総合1位をGet!」することは至難の業であることが推察されます。

 

控えめな真実 その6

 公立、私立の高校や中学校の「入学案内」の中にも顔写真や個人名さらには出身小・中学校名が書かれているものが多く見られます。しかし、それらは塾や学校あるいは入学説明会への参加者という<特定の人たち>を対象にして配布されており、不特定の人々を対象とした「新聞折り込み広告」とは明確な違いがあります。(それでも私個人の意見としては、未成年者の実名や顔写真は絶対に公開するべきではない、と考えています。)

 それに対して「新聞折り込み広告」の方は、それが“広告”であるがゆえに多少の誇張表現や曖昧な表現があっても仕方がない部分もありますが、度が過ぎると宣伝領域が広いがゆえに多くの人々に誤解や曲解や反感を抱かせてしまう恐れが出てきます。  

 そして、その広範囲な宣伝領域の中に存在しているかもしれない“善意ではない第三者”の目に触れる危険性があることを、広告主は十分に認識しなければなりません。

 だから影響力やインパクトの強い広告ほど、個人のプライバシーに対する配慮を徹底する必要があります。塾生などの素人の子どもを広告に起用する場合は特に気を付けなければなりません。そして、それが「オトナ」の仕事であり責任であり義務であると考えます。塾の「権威」や「ステイタス」あるいは「マウント」さらには「客寄せ」のために誇大に過ぎる表現をしたり塾生たちの個人情報を晒したりするようなことは絶対に避けなければなりません。

 

 先のイケメン先生を検索するついでに、この塾のHPを軽く流して見ましたが、定期テストで1位を取った生徒や得点を伸ばした生徒の実名と顔写真と学校名が堂々と載せられていました。繰り返して述べますが、これらの『確実・明確な個人情報』は“善意ではない第三者”の目に触れる危険性が多分にあることを十二分に認識する必要・責任・義務があります。

 だから今回のこの投稿は、自分でも<ちょっとえげつないな>と思いながらも『個人情報の保護に向けた警鐘』という重要な役割を持たせているので、どうかご理解ください。

 

 最後になりますが、それぞれの塾が公表する「合格実績」や「合格者数」あるいは「中間・期末 校内1位実績」などはすべて“自己申告”に過ぎません。それを検証する第三者機関が存在していないからです。いわば「言ったもん勝ち」のところがあります。また、前号で述べた「Aちゃん」のような子が本当にカウントされていない場合も考えられますし、さらには「中間期末対策バッチリ」や「テスト問題を的中」というカラクリもあります。そういう『都合の悪い真実』や『得点アップの裏側』は、内部告発やSNSなどでの発信が無い限り決してオモテに出てくることはありません。

 塾の「広告」は、時には批判的に、そして常に論理的に読み解くことが必要不可欠です。

 

 なお、この投稿への批判や反論は「みんなの学校新聞」編集部の方へ直接伝えてください。よろしくお願いします。

 

 次回の予定は、いよいよ「前期試験」と『後期試験』です。

 横行している「前期試験」の裏の実態(むしろリアル)を暴露します。

 

プロフィール

丹羽塾長

<現職>

桐生進学教室 塾長

 

<経歴>

群馬県立桐生高等学校 卒業

早稲田大学第一文学部 卒業

全国フランチャイズ学習塾 講師

都内家庭教師派遣センター 講師

首都圏個人経営総合学習塾 講師

首都圏個人経営総合学習塾 主任

首都圏大手進学塾    学年主任

都内個人経営総合学習塾 専任講師

 

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